むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

「傑作!」を連発するレビューブログを目指しています。コメントは記事ページから書込・閲覧頂けます。

16 / Dream Squasher

f:id:bluecelosia:20201129113246j:plain
16 / Dream Squasher


USのドゥーム/スラッジメタルバンドによる8作目フルレングス。



豪快なグルーヴの沼で足が取られる演奏と、時に艶かしいメロディーを伴う音世界は健在。
前作から今作までの間にギタリストが加わり、ギターのアンサンブルがより強調されている作風です。
首魁Bobby FerryのVoもますます冴え渡り、どことなく若返った印象はM-1“Candy In Spanish”の豪快ながらも鋭利な印象を受けるスラッジメタルからも感じられます。
ザクザクしたリフと大砲のようなドラムが爆発するような体感速度でかっ飛ばすM-2“Me And The Dog Die Together”、パイプオルガンの福音をまとわりつかせてとぐろを巻くような泥沼に身体を取られるM-3“Sandlands”、リズミカルにリフを捌きながら重厚なリズム感で揺らせるM-4“Harvester Of Fabrication”、地の底で引きずり回される鈍重なグルーヴにサンプリングを乗せて煽りまくるM-5“Acid Tongue”と濃厚なスラッジへの道筋をしっかり作っていく前半の流れも圧巻。
物悲しいブルースハープにうねるベースが合わさり一気に暴虐的なスラッジに雪崩れるM-6“Agora(Killed By A Mountain Lion)”、ぐいぐいと前のめるクラストに近い味わいで殴りかかってくるM-7“Ride The Waves”、緩急を行き交うドラムと重たく磨り潰すリフが心地好いM-8“Summer Of '96”、跳ねるギターリフが軋みを上げ変則的なリズムパターンで耳が翻弄されるM-9“Screw Unto Others”、口ずさめるギターメロディーで刻みつつも奈落に叩き落として足首を掴むグルーヴを保ったまま幕を降ろすM-10“Kissing The Choir Boy”と、前半の豪快で軽快さを払拭するような重圧感が気持ちいい一枚に仕上がっています。
High On FireやEyehategodにも比肩する実力者でありながらも、ジャンルの人気のなさとシンプルすぎるバンド名で今一つ本邦の認知度が低い気がしますが、相変わらずの安定感。
重厚な音作りは勿論のこと、抜けのいいドラムの音は今作の肝かもしれません。
この抜けの良さは是非ヘッドフォンかイヤホンで体感してほしいですね。



1. Candy In Spanish
2. Me And The Dog Die Together
3. Sandlands
4. Harvester Of Fabrication
5. Acid Tongue ★
6. Agora(Killed By A Mountain Lion)
7. Ride The Waves
8. Summer Of '96
9. Screw Unto Others
10. Kissing The Choir Boy
(2020/Relapse)
Time/42:41