むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

「傑作!」を連発するレビューブログを目指しています。コメントは記事ページから書込・閲覧頂けます。

Moloken / Unveilance Of Dark Matter

f:id:bluecelosia:20200901201957j:plain
Moloken / Unveilance Of Dark Matter


スウェーデンのアトモスフェリックスラッジメタル/ハードコアバンドによる4作目フルレングス。


スラッジの暴力的な泥寧にポストロック的な音響が絡まり合って独特の音世界を繰り広げる、Cult Of Lunaの因子をそこかしこに感じる作品です。
あくまでスラッジとハードコアを貫く動的な演奏に、時折挟まれる静寂が耳を引く彼等の世界観はますます磨き抜かれています。
今作はこれまで以上にギターのわかりやすさが比重を占めており、混沌の世界に一定の聴きやすさを付与しています。
重苦しくも歯切れのいいリフで幕を上げるM-1“This Love Is A Curse”から今作の肝とも言える執拗な反復で聴き手を酩酊させてきます。
フレンチブラックの如く乱反射するリフがなぶるように進行していくM-2“Surcease”、BPMを落として沼地に足を取られるようなグルーヴの上を絶叫が木霊するスラッジM-3“Shadowcastle(PT.I)”、ばたつくドラムの乱打にじわじわと侵食するリフとグロウルが聞き応えあるM-5“Hollow Caress”に至るまでに見せる地獄のような世界観が素晴らしい。
甲高いギターの鳴りに変則的なリズムが絡みつく蛇のようなM-6“Venom Love”、薄気味悪いギターメロディーをゆったり漂わせて漂白していくポストメタル的なM-8“Lingering Demise”、一転爽やかとすら言える軽やかさに物憂げなギターが合わさるM-9“Unbearable”、溜めてきたものを暴発させるように爆発する狂おしく激しいM-11“”で潔く終わる手腕もなかなか。
スラッジやドゥーム特有の重苦しさはあれど、基本は速いテンポで進行していくので、不馴れな人にもオススメしやすいです。
ただ聴いていると、聴けば聴くほどブラックメタルやクラストっぽい心地になるんですよね。
そういう意味では、スラッジのファンよりはそうじゃない方の方が馴染みやすい作品かも。


1. This Love Is A Curse
2. Surcease
3. Shadowcastle(PT.I)
4. No Ease,No Rest
5. Hollow Caress
6. Venom Love
7. Repressed
8. Lingering Demise
9. Unbearable ★
10. One Last Breath
11. Unveilance Of Dark Matter
(2020/The Sign Records)
Time/42:10