むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

「傑作!」を連発するレビューブログを目指しています。コメントは記事ページから書込・閲覧頂けます。

Make Them Suffer / How To Survive A Funeral

f:id:bluecelosia:20201116214356j:plain
Make Them Suffer / How To Survive A Funeral


オーストラリアのシンフォニックデスコア/メタルコアバンドによる4作目フルレングス。



残忍なデスコアの上にやりすぎなほどのオーケストレーションをまぶし、賛否両論を巻き起こしたデビューから幾星霜。
作を重ねるごとに、より雑多な要素を入れつつ個としてのまとまりを強め、今作ではデスコアというよりは前作路線をさらに強め、メタルコアと言い切ってしまえるほどの変化を遂げました。
彼等の売りでもあるシンフォニックな要素やデスコアのパートは大きく減退し、強靭なグルーヴと雄々しいコーラスでキャッチーに叩きつける様は、実質オープナーとなるM-2“Falling Ashes”から一貫しています。
跳ねるリズムで躍動的なグルーヴを作ってからどんどん爆走して華やかなヴァースに雪崩れるM-3“Bones”、ミュートを機能的に配置したブレイクダウンから開幕して女性コーラスを中心に据えたヴァースを聴かせるM-4“Drown With Me”、メランコリーを強調した叙情的なメロディーを軸に軽やかな疾走で突っ走るM-5“Erase Me”までの流れに、セルアウトと謗られても不思議じゃないほどの商業性を感じますが、これがなかなかどうしてきっちり聴かせるものになっています。
複雑怪奇なうねりの中絶叫が轟きキャッチーなコーラスが聴けるM-6“Soul Decay”、擂り潰す重厚なダウンテンポなデスコアながらも非常にソリッドな爆走を織り交ぜるM-7“Fake Your Own Death”、前曲を引きずる爆走から急激に銀盤を絡めたアンビエントパートと女性Voの美しさとの対比が壮絶なM-8“How To Survive A Funeral”、暴虐性をスクリームだけに残して儚く織り上げる大胆なバラードM-9“The Attendant”、深く叩きつけるビートを矢継ぎ早に繰り出してブレイクダウンもきっちり聴かせて〆るM-10“That's Just Life”と、かなりデスコアから距離を置いたような作風になっています。
とは言うものの、暴虐性はしっかりあって、デスコアの強烈さは要所要所にあります。
BMTHとはまた違った方向性で、柔軟にデスコアの解釈を拡げていると言ってもいい一枚。
今作は何気に好きな人多いんではないでしょうか。



1. Step One
2. Falling Ashes
3. Bones
4. Drown With Me
5. Erase Me ★
6. Soul Decay
7. Fake Your Own Death
8. How To Survive A Funeral
9. The Attendant
10. That's Just Life
(2020/Greyscale)
Time/35:14