むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Whitechapel / The Valley

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Whitechapel / The Valley


USのデスコアバンドによる7作目フルレングス。


トリプルギターによるアンサンブルを主軸に暴虐的なデスコアを信条としたバンドです。
前作発表後にBen Harclerode(Dr)が脱退、代わりにNavene Koperweisなる人物が客演として参加しています。
クリーンVoを導入し、賛否を巻き起こした前作ですが、歌の骨格が割としっかりしていたこともあり、個人的には割と好きな作品でした。
それを受けての今作は、紛れもなく前作の延長線上にあります。
物憂げなクリーントーンから暴虐的なブレイクダウンに雪崩れ込み高らかなコーラスを炸裂させるM-1“When A Demon Defiles A Witch”が象徴するように、元来のデスコアよりもニューメタル寄りに大きく転換しています。
その結果、彼らの作品で最もブルージーな作品に仕上がりました。
ガリガリと引っ掻くようなリフと怒号が轟くM-2“Forgiveness Is Weakness”、強烈なブレイクに落とし込む凶悪に重たいM-3“Brimstone”、邪悪なメロディーが冷ややかに迫るブラックメタル的な味わいのM-9“Lovelace”といった激しくメタリックの曲も勿論健在。
ですが、物悲しく美しいギターを背景にじっとり歌い上げるM-4“Hickory Creak”、物憂げなVoを滲ませてグロウルも織り混ぜる新機軸M-8“Third Depth”、弾き倒されるギターの美しさと怒号の美醜が際立ったドラマティックなM-10“Doom Woods”といったメロディアスな曲の出来がとにかく良く、アルバムの色を決定づけています。
キレのあるリズムで跳ねながらブレイクに落とす器用さを見せるM-5“Black Bear”、癖のあるドラムを聴かせながら疾走するM-6“We Are One”のグルーヴはニューメタル寄りに仕上がっていますね。
前作以上にデスコア感は薄れている印象を受けますが、曲がかなり良いので個人的には全く気にならないどころか結構気に入りました。
彼らの激しさそのものにブレはなく、より可能性を見せてくれるいいアルバムだと思います。
路線を変えても上っ面な感覚は一切ないですよ。


1. When A Demon Defiles A Witch
2. Forgiveness Is Weakness
3. Brimstone
4. Hickory Creak
5. Black Bear
6. We Are One
7. The Other Side
8. Third Depth
9. Lovelace
10. Doom Wood ★
(2019/Metal Blade)
Time/40:29