むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Voodoo Gods / Rise Of The Antichrist

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Voodoo Gods / Rise Of The Antichrist



USのデスメタル/スラッシュメタルバンドによる2作目フルレングス。



殺伐としたデスラッシュ寄りのデスメタルを信条とした、Cannibal CorpseのGeorge "Corpsegrinder" Fisherも擁するバンドです。
今作は、さらに元RageのVictor Smolskiが加入して初めての作品。
その影響かパワーメタル臭さが加味されていたり複雑な展開が増えて男臭いメロディーが増強されていたりと、前作のシンプルなデスラッシュとは趣を異にしています。
それもあり、じっくりと迫りつつ急激にスラッシーに加速したりブレイクを挟むストップゴーを繰り返すM-1“Rise Of The Antichrist”からも伺えるように少し複雑な展開を持った方向にいっているので、好き嫌いは分かれるかもしれません。
神秘的なギターを這わせてスラッシーな突進を仕掛けるM-2“From Necromancy To Paraphilia”、重量感のあるリフにばたついたドラムを合わせて爆走に繋げるM-3“Menace To God”、スリージーな空気を漂わせるギターで油断させてから小気味良く刻むデスラッシュM-4“Serenade Of Hate”、華麗なシュレッドからザクザクと気持ちの良いリフに雪崩れるM-5“Forever!”の流れに、前作と全くモードが異なることを見て取れるでしょう。
シンプルなスラッシュビートによく刻み込まれるリフが切り込むM-6“Isa”、メロディックながらもカオティックなイントロから一気に加速していくデスラッシュM-8“The Absolute Necessary To Kill”のひりついたリフの掛け合いには、デスメタルバンドとしての矜持も伺えますね。
プログレッシヴデスメタルとも違う、“なりすぎない”ほどに複雑な、かつ豪胆なプロダクションで好きな人は好きな作品。
本編を締め括るM-9“The Divinity Of Blood”には、パワーメタルっぽさが強い演奏に噛みつくようなグロウルが意外と嵌まっていたりします。
個人的には、もう少し前作のテイストを残した粗野で凶暴な方が嬉しかったですが。
ただ、Rageがデスメタルを演奏するとこうなる、という面白みはあるのでVictorのギターが好きならマストですね。
新加入ながらも、結構Victorによる主導権が大きそうな印象を受ける作品だな、と。



1. Rise Of The Antichrist
2. From Necessary To Paraphilia
3. Menace To God
4. Serenade Of Hate
5. Forever!
6. Isa ★
7. The Ritual Of Thorn
8. The Absolute Necessary To Kill
9. The Divinity Of Blood
10. Before The Dawn(Necrophobic Cover)
11. The Ritual Of Thorn(Alternative Mix)
(2020/Reaper Entertainment)
Time/57:11