むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Zero Degree / Black Hole Illumination

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Zero Degree / Black Hole Illumination


ドイツのメロディックデスメタルバンドによる2作目フルレングス。


ドイツの3大メタルコアの一つ、MaroonのドラマーであるTobias Dohleを擁していたことでも話題になっていた彼等ですが残念ながら既に脱退しており、Voもチェンジして心機一転、10年振りの新作です。
その音楽性ですが、愚直なまでにど真ん中のメロデスを鳴らしていて、健在どころかますます叙情を磨いています。
ドラムが変わったことによる変革があるばかりか、むしろ90sメロデスっぽさを増しているとさえ言えます。
軽やかに空中を走るM-2“Purified”のリフが聴こえてきた瞬間、「これこれ」と膝を打つ感覚を味わえると思います。
大きく渦巻くメロディーから喧騒を交えどっしりと大地を歩くM-3“Resurrection”に文字通りバンドの復活の息吹きを感じ、高らかに弾かれるギターから一気にツインリードと共に加速するM-4“Ghost Ship Ride”の鮮やかなメロディーにはメロデスファンの頬は弛むはず。
メランコリックなギターインストM-5“Hybris”を挟んで暴虐リフが暴れ回る上を優美なメロディーとうっすらシンセが舞うM-6“Briar Patch”、浮遊感のあるメロディーで軽やかに乱舞しながら駆け抜けるM-7“A Fading Siren Sound”、小気味のいい単音リフによるリードが心地好い疾走感を生み出すこれぞメロデス!なM-8“Your Dead End”、乱打されるドラムと重心の低いリフによる爆走スイッチが入ったメロデスラッシュM-10“Dust”、冷たく邪悪なざらついたリフでザクザク刻みながら気だるげに進軍するM-11“Wall Of Hate”、哀愁と華やかさが同居したメロディーが様々な表情を見せながら疾走に収斂して幕を下ろすM-12“The Light”と、どこを切ってもメロデス愛好家にはニヤニヤできる仕上がり。
新味よりもメロディーの美しさの純化にステータスを全振りしているので、安定感と安心感のある一枚。
メロデスってやっぱこうだよな」って頷ける作品なので、次作はもう少し早めに聴けたらいいな、と。
コロナ禍が本格化する前後にリリースされて、発送がめちゃくちゃ早いことでも話題になってましたね。
本当に早くてありがたかったです。



1. Gravity
2. Purified
3. Resurrection
4. Ghost Ship Ride
5. Hybris
6. Briar Patch
7. A Fading Siren Sound
8. Your Dead End ★
9. Desperate Silence
10. Dust
11. Wall Of Hate
12. The Light
(2020/自主制作)
Time/43:38