むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Naglfar / Cerecloth

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Naglfar / Cerecloth


スウェーデンのメロディックブラックメタルバンドによる7作目フルレングス。



前作“Teras”から意外にインターバルがあって8年ぶりとなる今作でも、変わらない安定したメロディックブラックをやっています。
Dissectionを源流とする、邪悪で薄闇から躍り出るような絶対零度トレモロとしゃばしゃばした絶叫を持ち味としたKristoffer W. Oliviusの相性は良く、冷たい真夜中の森を駆け抜けるようなオープナーであり表題曲M-1“Cerecloth”から、思わず膝を打つメロブラを聴かせてくれます。
冷え切ったトレモロが心地好く爆走するコールドブラックM-2“Horns”、グルーヴィーなベース主導で亡霊が走る光景が浮かぶようなM-3“Like Poison For The Soul”、厭世感の滲んだ鬱々としたリフを矢継ぎ早にスラッシーなビートと共に投げつけるM-4“Vortex Of Negativity”、どっしりと腰を落として凝ったリズムで威圧的に迫ってくるM-5“Cry Of The Serafim”と飽きさせない工夫で序盤から多彩な楽曲が並びます。
Jens期を彷彿とさせる寒々しいトレモロと胸を掻きむしる疾走感で煽るM-6“The Dagger In Creation”、さらに煽り立てるリフでテンション高く爆走するM-7“A Sanguine Tide Unleashed”、とろみのある退廃的なメロディーを流しながら徐々に華やかな盛り上がりを魅せるM-8“Necronaut”、作品を総括するように懐深いメロディーで聴き手を抱え込むようなキャッチーなメロブラM-9“Last Breath Of Yggdrasil”と、持ち前のコールドなブラックメタルに昨今流行りの儀式的な雰囲気を織り混ぜた、ベテランの面目躍如となる安定した作品に仕上がっています。
個人的にはやはりJens期のNaglfarが忘れられないわけですが、Kristofar氏がVoに転向してからは一番好きな作品です。
鬱蒼とした森の中で邪悪な儀式を見てしまったかのような心地になれる一枚。



1. Cerecloth
2. Horns
3. Like Poison For The Soul
4. Vortex Of Negativity
5. Cry Of The Serafim
6. The Dagger In Creation
7. A Sanguine Tide Unleashed ★
8. Necronaut
9. Last Breath Of Yggdrasil
(2020/Century Media)
Time/43:41