むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Cultus Profano / Accursed Possession

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Cultus Profano / Accursed Possession



USのブラックメタルバンドによる2作目フルレングス。



Sadistic Intentに在籍するAdvorsus氏と、美貌のStrzyga氏による二人バンドで、オカルティックな世界観を軸に、ノルウェジアンブラックあるいはDarkened Nocturne Slaughtercultといったバンドへの憧憬を陰惨で退廃的な音に込めた音楽性です。
その実、ブラックメタルとして王道な、寒々しいトレモロとブラストビートによる異様な体感速度という基本構造を踏まえた楽曲作りを心掛けています。
儀式的な倦んだメロディーで神経を蝕んだかと思えば急激な加速で気持ちの良いドライヴ感を与える緩急自在な音作りはM-1“Cursed In Sin, Op. 25”から盛り込まれており、彼らの基盤になっています。
強い厭世感が滲んだギターでもがくようなトレモロを聴かせてから加速して心地好い疾走で闇夜を駆けるM-2“Devoted To The Black Horns, Op. 16”、神経に障るトレモロと邪悪なVoで魂を痛めつけるような暴虐性を振り撒くM-3“Upon A Tomb Of Sacrilege, Op. 24”、金物が鳴るようなハイハットとブラストを暗いメロディーと共に響かせるM-4“Towards The Temple Of Darkened Fates, Op. 19”、緩急をつけたドラムに邪悪なトレモロと荘厳な儀式メロを乗せてじっくり踊らせるM-5“Within A Coven Of Shadows, Op. 21”まで一気に聴かせる構築力がまず素晴らしいですね。
病んだメロディーを悲壮的に垂れ流すギターと世を儚み憎悪するような絶叫が絡まる絶望的なM-6“Tenebris Venit, Op. 23”、小気味の良いスネアから一気に加速して最後を彩るメロディックブラックM-7“Crown Of Hellfire, Op. 11”と、実に王道的なブラックながらかなりの質の高さで聴かせる逸品です。
特にバスの鳴りの気持ち良さはなかなかのもので、確かな推進力で体感させるかなりの名手だと思います。
厭な気持ちにさせるリフも明瞭であり、近年のMayhemにも通じる邪悪さもあります。
すっきりした音像もクリアだからと邪悪さが薄まることなく、最後の最後までおぞましく聴かせる傑作ですね。
曲題にある「Op」は作品番号だと思いますが、並びが不揃いなのもコンセプチュアルですよね。



1. Cursed In Sin, Op. 25
2. Devoted To The Black Horns, Op. 16 ★
3. Upon A Tomb Of Sacrilege, Op. 24
4. Towards The Temple Of Darkened Fates, Op. 19
5. Within A Coven Of Shadows, Op. 21
6. Tenebris Venit, Op. 23
7. Crown Of Hellfire, Op. 11
(2020/Debemur Morti Productions)
Time/46:35