むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Heathen Foray / Weltenwandel

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Heathen Foray / Weltenwandel


オーストリアのメロディックデス/ヴァイキングメタルバンドによる5作目フルレングス。


EnsiferumやWintersunの系譜を受け継ぐ、土着性の強いキラキラクサメロデスとしても日本でもそれなりに認知されているバンドですが、今作では前作までの路線と違う、彼らの血腥いヴァイキングメタル要素が色濃く出ています。
M-1“Schicksalsknecht”~M-2“Essenz”までの流れからも窺えるように、じっくり腰を据えた重苦しいBPMと勇壮なコーラスに胸を焦がす仕様で作品が統一されているため、面喰らう方もいるかも知れません。
ですが、重厚な中に軽やかな疾走を織り込んで甲冑を着て踊らせるようなM-3“Tanz”で聴けるキャッチーとすら言える叙情や、一転して遅いテンポに艶かしいメロディーを合わせて歩調を一貫させるM-4“Verfall”を経て、派手なギターリフで雄壮さを演出する情熱的な疾走メロデスM-5“Weg”が非常に効いています。
物悲しい残響の中で妖しい呪文を囁きつつ邪悪な何かを召喚するような暗黒的な叙事詩を繰り広げる大曲M-6“Monolith”、軋むような音圧でリフを刻む強烈な巻き舌も印象的な威圧的なM-7“Soldat”、終幕に相応しい仰々しいキーボードに華々しいギターを絡ませてどんどん加速していくM-8“Schlangengrube”とメリハリの効いた楽曲が並びます。
確かにドン!とわかりやすい作品ではないものの、重苦しさの中にある親しみやすさの表出のバランスがいい作品だと思います。
彼等の少し邪悪な部分が露呈している中々の意欲作ではないでしょうか。
土着的と言われて芋臭さが出ているのかと思えば、かなり良好なプロダクションで分離の良いクリアな音質というのもこの手のジャンルでは珍しいかも。



1. Schicksalsknecht
2. Essenz
3. Tanz
4. Verfall
5. Weg ★
6. Monolith
7. Soldat
8. Schlangengrube
(2020/Massacre)
Time/44:54