むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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The Black Dahlia Murder / Verminous

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The Black Dahlia Murder / Verminous


USのメロディックデスメタルバンドによる9作目フルレングス。


みんな大好きThe Black Dahlia Murderです。
USメロデス界の唯一と言っていいほどの覇者で、本邦にもファンは多いですね。
彼等は非常に肉体的な瞬発力に長けており、そこに血腥く冷たい叙情を織り混ぜる猟奇的とすら言えるスタイルは不変。
叙情性が増しており、彼等のカタログではメロウな作品と言えるかも知れません。
それでも、開幕を飾るM-1“Verminous”のリフと共に歯切れよく吐き捨てられるTrevor Strnadの咆哮を聴けば、安心安定のブラダリの世界に放り込まれます。
乱打され畳み掛けられるブラストが怒涛の構成を見せつつ叙情的なコーラスを叩きつけるM-2“Godlessly”、重厚なリズムに冷たいギターを這わせる劇場型メロデスを展開するM-3“Removal Of The Oaken Stake”、ゴリゴリと削るようなベースに唸るリフと共に叙情をかなぐり捨て地獄を見せつける緩急の展開も非常に練られたM-4“Child Of Night”、透き通ったアンビエントに仄かに正統派的な勇壮なメロディーを爆発させるM-5“Sunless Empire”の流れに、今作のメロディックな志向が透けて見えます。
鋭利に跳ねるリズムをコロコロと変えてジャジーなメロウパートを差し込みつつ暴虐的なヴァースに繋げるM-6“The Leather Apron's Scorn”、ギターは忙しなくないのに走り回るドラムで暴虐性を加速させているM-7“How Very Dead”、泣き叫ぶギターで幕を上げる心地好い疾走感が耳に馴染むM-8“The Wereworm's Feast”、慟哭に咽ぶリフが泣き叫ぶドラマチックに感情を爆発させる幕引きに相応しいM-10“Dawn Of Rats”、1分と少しの短い間にありったけのメロディーを詰め込んだボーナストラックM-11“Saber The Dog Theme”と従来の彼等よりも一見大人しそうに聴こえる反面、ズルズルと引き込む中毒性のある作品に仕上がっています。
即効性のある無茶苦茶な暴走感は確かに減ったのですが、曲そのものはかなりいいので、噛めば噛むほど味が沁みる長く付き合えそうな作品だな、と。
Juanjo Castellanoによる美麗で毒々しいアートワークも今作に合っていますね。


1. Verminous
2. Godlessly
3. Removal Of The Oaken Stake
4. Child Of Night ★
5. Sunless Empire
6. The Leather Apron's Scorn
7. How Very Dead
8. The Wereworm's Feast
9. A Womb In Dark Chrysalis
10. Dawn Of Rats
11. Saber The Dog Theme
(2020/Matal Blade)
Time/37:02