むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Manam / Ouroboros

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Manam / Ouroboros


イタリアのメロディックデスメタル/パワーメタルバンドによる2作目フルレングス。


物憂げな叙情を透明度の高い音で聴かせる重奏は不変、よりDark Lunacy辺りに近づいた印象を受けます。
トリプルギターによる演奏は北欧メロデスのそれとは違い、プログレッシヴメタルに近い味わいを持っています。
芳醇なギターメロディーを支えるドラムの起伏がとにかく激しく、一曲の中で表情が変わる一因になっています。
開幕を飾るM-1“Nigredo”でも、静かで邪悪なデスメタルパートと物悲しいメロディーを朗々と歌い上げるクリーンのパワーメタル然とした要素が渾然一体となっています。
リフ先導の疾走感が王道の魅力を放射しつつもコーラスが大仰なM-2“The Enclosing Veil”、華やかなギターにシンセが絡み合いシンフォニックメタルに近い絢爛をぶちかますM-3“Storm”、ほぼグロウルを使わずクリーンで雄々しく歌い上げるほとんどメロパワと言って差し支えない疾走が癖になるM-4“Albedo”の前半は特にメロディーが重視されています。
ストリングスにギターが重層的に這いしっとりとした歌唱が響くバラードM-5“The Silver Bride”、重心低いドラムに飛び道具的にギターが乱舞するメロデスに雪崩れ込む展開が素敵なM-6“Citrinitas”、悲しげなメロディーを歌い上げるクリーンが派手に展開して幕を下ろすM-9“Evenfall”と、後半はパワーメタルとメロデスが交錯する頻度が多くなる展開だな、と。
聴いているとメロデスよりも濁りの少ないギターも相俟ってパワーメタル的な印象の方が強いので、今後メロデスでなくなっても不思議ではないです。
まだちょっと洗練されきっていないので、ほんのり土着的なタッチが濃いのも魅力ですね。


1. Nigredo ★
2. The Enclosing Veil
3. Storm
4. Albedo
5. The Silver Bride
6. Citrinitas
7. Ouroboros
8. Rubedo
9. Evenfall
(2020/Rockshots)
Time/38:52