むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

「傑作!」を連発するレビューブログを目指しています。コメントは記事ページから書込・閲覧頂けます。

Ophidian I / Desolate

f:id:bluecelosia:20210803200121j:plain

Ophidian I / Desolate


アイスランドのテクニカル・デスメタルバンドによる2作目フルレングス。


約9年ぶりの新作となる作品ですが、初めて聴きました。
ブラックメタルバンドHelfróのメンバーを擁する編成ですが、ブラックメタルの要素はほぼないです。圧倒的な手数足数のドラムが繰り出す凄まじいスピードに乗せて、華麗なギターをガンガンにキメるスタイル。
つまり、初期のObscura、The Artisan Era所属バンドを彷彿とするものですね。高速シュレッドでクサみのあるフレーズを惜しげもなく放り込むのはM-1“Diamonds”から徹底しています。低めに噛みつくような獰猛なグロウルも獣のようでかっこいいですね。暴走するスピードに乗せてキャッチーなリフで聴きどころを明確に設けているM-2“Spiral to Oblivion”、けたたましいブラストビートと派手なシュレッドで突貫するM-3“Storm Aglow”、邪悪なトレモロを一瞬覗かせた後はひたすら正気を失った速さで目まぐるしく絨毯爆撃をかますM-4“Unfurling the Crescent Moon”までで耳に優しくない皆が好きなテクニカルデスが詰まっています。
威圧的な咆哮と精緻にストップ&ゴーを刻む気持ちの良いスラッシーなリフが拝めるM-5“Sequential Descent”、フラメンコ風の叙情フレーズから暴虐的な狂騒に雪崩れ込むデスコアをもレンジに捉えたM-6“Captive Infinity”、精神を圧迫するような薄気味悪いフレーズとソリッド&グルーヴィーなリフが癖になるM-7“Enslaved in a Desolate Swarm”の中盤も全く手抜かりなく。
The Black Dahlia Murderに近い狂気のリフとブラストビートに噛みつくグロウルが乗るメロディアスなM-8“Dominion Eyes”、親しみやすく口ずさめそうなギターに反して世話しなく高低差を行き来するバッキングが異様なM-9“Jupiter”、高低グロウル&スクリームの厳ついVoと力で捩じ伏せながらも美麗なシュレッドを放り込むM-10“Wither on the Vine”と、最後まで気の抜けない完成度の高さが伺えます。
素晴らしい作品ですね。圧倒的な「力でやれ」感満載のブルータリティに負けることなく叙情的なフレージングも惜しまないので、一定以上の聴きやすさもしっかりある化け物みたいな一枚です。
これがThe Artisan EraからではなくSeason of Mistからということに結構驚きました。
テンションの高さも良し。
非の打ち所のない、強度と美しさを兼ね揃えたテクニカル・デスメタルの大傑作ですね。


1. Diamonds
2. Spiral to Oblivion
3. Storm Aglow
4. Unfurling the Crescent Moon
5. Sequential Descent
6. Captive Infinity
7. Enslaved in a Desolate Swarm
8. Dominion Eyes ★
9. Jupiter
10. Wither on the Vine
(2021/Season of Mist)
Time/38:50

Score:10/10


www.youtube.com