むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Invictus / The Catacombs Of Fear

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Invictus / The Catacombs Of Fear


日本のデスメタルバンドによる初フルレングス。



非常に重苦しくも切れ味の鋭いアルバムです。
90年代初頭のMorbid AngelやObituaryといったデスメタルの姿を思い起こさせる様には、スラッシュメタル由来のリフがしっかり刻み込まれており、非常にシンプルで小気味が良い。
殺伐とした録音で乾いた血生臭さがあるのが個人的に嬉しく、時に叙情的なフレーズが一瞬交錯するのでフックとして効果覿面なのはM-2“Lord Of The Pit/奈落の王”が証明しています。
瘴気を吹き出すギターと凄まじい勢いで乱打されるドラムの波状を縫う咆哮と冷たく邪悪なメロディーが印象的なM-3“Bizarre Dream/奇妙な夢”、禍々しいリフと共に突進してくる暗黒闘気をまとうビートダウンが地獄を作り上げるM-4“Infernal Covenant/地獄の盟約”、一転小気味良くロールするようなビートが淡々と耳を刻む複雑なリズムパターンでじっくり聴かせるM-5“Diabolic Intent/悪魔的意図”と前半から飛ばしまくっていて喝采するはず。
速重乱とビートの展開に合わせて切り刻みまくる高速リフが快感のソロに雪崩れるM-6“Sinkhole Of Ghouls/屍喰鬼の陥没孔”、器用にグロウルで邪悪に歌い上げる立体的にリフが縦横無尽に行き交うのが耳を引くM-7“Spawn The Cycle Of Putrefaction/堕胎児腐敗循環”、乾いたリフが血を求めて蠢き這い回る感覚に酔うM-8“Devouring Room/貪喰部屋”に呼応するかのようにドロドロと腐った死体が起き上がって乱舞するような作中でも随一キャッチーなM-9“Necrocrypt”、冷たく澱んだ風が嵐を呼ぶかのようなリフに最後まで翻弄される血が滲むM-11“The Catacombs Of Fear/恐怖の地下墓地”に至るまで、過不足なくデスメタルを徹底しているのが素晴らしいですね。
聴いていると録音は生々しくもすっきり&くっきりして明瞭だし、ブラックメタルのメロディー使いだったり、正統派のようなメロディアスなフレーズを織り混ぜたりしているのですが、デスメタルとして崩壊しないギリギリのラインを攻めているのも嬉しくなりました。
早くも次作が楽しみになる作品ですね。


1. At The Gate Of Crypts/地下室への扉
2. Lord Of The Pit/奈落の王
3. Bizarre Dream/奇妙な夢
4. Infernal Covenant/地獄の盟約
5. Diabolic Intent/悪魔的意図
6. Sinkhole Of Ghouls/屍喰鬼の陥没孔 ★
7. Spawn The Cycle Of Putrefaction/堕胎児腐敗循環
8. Devouring Room/貪喰部屋
9. Necrocrypt
10. Netherworld/冥府
11. The Catacombs Of Fear/恐怖の地下墓地
(2020/F.D.A.)
Time/31:03