むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Heads. / Push

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Heads. / Push


ドイツのポストパンク/ハードコアバンドによる3作目フルレングス。


謎めいた雰囲気で艶かしく迫るような前作“Collider”と雰囲気は似れど、より直感的な衝動が勝る作品に仕上がっています。
ゴリゴリとした凶悪なベースが基盤であることに変わりはないですが、張り上げるVoの暴力性が増しており、ハードコアの衝動をさらに増強しています。
スポークンワードとノイズで不穏な空気を撒き散らすM-1“Empty Town”に引きずられるような無機質で暗黒的なメロディーを撒き散らすM-2“Weather Beaten”の反復するリフの響きで三半規管を酔わせる感覚に、80sポストパンクの幻影を見ることができます。
BPMを上げてハンマーを叩くようなビートが心地好く揺らせる最中に耳障りなギターが逆巻くM-3“Push You Out To Sea”、無気力に叩くようなドラムに怠惰なVoがゆらゆらと泳ぐM-4“Loyalty”、甲高いサイレンのようなギターが木霊する裏でノイズが不安感を煽るM-5“Rusty Sling”と、前半だけでも濃密でより退廃的な音が目白押し。
その退廃的な空気を撒き散らしながらキャッチーに疾走をかます攻撃的なポストパンクM-6“Nobody Moves & Everybody Talks”、腹に溜まる重たいベースに耳に障るブザーのような電子音が耳に残るM-7“It Was Important”、作中最も掴みやすい開放的なメロディーに反復するベースラインに絡みやけに感傷的なギターソロが展開される約8分の大曲M-9“Paradise”、M-1の流れを組む重苦しいギターとスポークンワードで〆るM-10“As Your Street Gets Deserted”とコンパクトながらもパンチの効いた作品に仕上がっています。
ストパンクでもJoy DivisionではなくKilling Jokeを彷彿とさせるのは嬉しいところで、激しい曲はHelmetのような感触もあります。
時流に乗ってるようでガン無視するような無骨さが渋いアルバムですね。
シンプルに目を引くアートワークも派手で可愛いです。


1. Empty Town
2. Weather Beaten
3. Push You Out To Sea
4. Loyalty
5. Rusty Sling
6. Nobody Moves & Everybody Talks ★
7. It Was Important
8. A Swarming Tide
9. Paradise
10. As Your Street Gets Deserted
(2020/Glitterhouse)
Time/35:36