むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Fractured Insanity / Massive Human Failure

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Fractured Insanity / Massive Human Failure


ベルギーのテクニカルデスメタルバンドによる4作目フルレングス。


PestilenceやPestifer、Krisiunといったバンドに近いデスメタルを演奏するバンドで、初めて聴きました。
乾いたプロダクションで、技巧的に凝った展開を見せますが全体的な感触はなかなか素直な印象を受けます。
キャッチーなリフで絨毯爆撃のように怒涛の攻めで幕を上げるM-1“Crusade Of The Offended”を聴けばわかるような、常軌を逸した複雑さで魅せるテクデス風味は控え目。
原爆に関するスピーチを交えて核の恐怖を煽るリフで重たく突進するM-2“M.A.D.”の重圧感や小気味良く走るドラムの粒立ちが心地好く耳を乱打するブルータルなM-3“Baphomet Bringer Of Free Mind”の物悲しいフレーズからブラッケンドなデスメタルに転換する様は素直にかっこいいです。
威圧的に鳴らされる低いチューニングでミュートを効果的に聴かせるM-4“Hell Of No Man's Land”ではMemoriam/ex-Bolt ThrowerのKarl Willettsが客演しているのもトピック。
重苦しくゆったりとおどろおどろしいリフを響かせながら艶かしいクリーントーンを織り混ぜたり悪魔的なメロディーに雪崩れ込むM-5“Massive Human Failure”、緻密なブラストを伴いつつわかりやすい爆走で踊らせるM-7“Rothschild's Disease”、しっとりと物憂げなギターにスポークンワードを重ねて溜めつつ最後とばかりに爆発させるM-9“Rise All Above”と、個性はそこまで感じませんがじっくりと聴かせる曲が並びます。
目まぐるしく起伏に富んだテクニカルデスを聴きたい方にはオススメできませんが、聴きやすくしっかりとキャッチーな部分も多いので悪くない作品だと思います。



1. Crusade Of The Offended
2. M.A.D.
3. Baphomet Bringer Of Free Mind
4. Hell Of No Man's Land ★
5. Massive Human Failure
6. Reflecting Of The Soul
7. Rothschild's Disease
8. Panic Abuser
9. Rise All Above
(2020/Massacre)
Time/40:14