むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Benighted / Obscene Repressed

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Benighted / Obscene Repressed


フランスのブルータルデス/デスグラインドバンドによる9作目フルレングス。


相変わらずの凄絶極まりない超人的な技巧で突っ走る作風です。
初期のブラックメタルのテイストをアップデートしたような前作は非常に好きな作品でしたが、今作も前作の延長ながら前々作のハードコアの要素も惜しげなく突っ込んでいます。
前作では何故か控え目だったトレードマークとも言えるJulien Truchanの豚声も今作ではガンガン使っています。
更に、常軌を逸した速度で突っ走るグラインドコアの要素も今作では強調されているので、全体的に速い印象を受けるのは、Benightedのお家芸でもあるブラック由来の厭世的なメロディーを滲ませるデスグラインドM-1“Obscene Repressed”から明らか。
続く削岩機のようなブラストビートが耳を苛みながらも存外キャッチーな歌メロで畳み掛けるM-2“Nails”、哀愁あるクリーンなギターを台無しにする鬼気迫る機関銃のようなドラムと汚ならしくも威圧的なVoが凄まじくかっこいいM-3“Brutus”、若干テンポを落として喘ぎ声でエロスを出すかと思えばやっぱり爆走するM-4“The Starving Beast”、歯切れのいいリフワークでデスラッシュのような爽快感もあるM-5“Smoke Through The Skull”まであっという間です。あっという間。
Soulflyのような原始的なリズムにデスグラインドを合わせる少し変わり種のM-6“Implore The Negative”を皮切りに、ゴリゴリと耳を削り取るリフが何とも馴染みやすい軽やかなM-7“Muzzle”に挟まるジャジーなブレイクや、インダストリアル的に重たいノイズに派手目なギターメロディーを乗せたブラックメタル的なM-8“Casual Piece Of Meat”、一転ダンサブルに転がすスラッシーなリフで切り刻みまくるM-9“Scarecrow”の中盤は捻りがあっていいですね。
跳ねて沈むような聴き心地のリフで変化をつけながら突っ走るM-10“Mom,I Love You The Wrong Way”、短い小節の中にブラックやスラムといった要素を詰め込みながら異様な展開で魅せるデスグラインドM-11“Undivided Dismemberment”、渇いたギターに噛み千切るようで感情豊かなVoで最後の最後まで気を抜かせないM-12“Bound To Facial Plague”と、ベテランの面目躍如となった作品に仕上がっています。
益々磨き抜かれた彼等の後続を突き放す迫力満点の今作は、近年の彼等のカタログの中でも随一デスグラインドしているので、今作を最高傑作とするファンも多いでしょう。
初めてBenightedを聴くって人にもどういうバンドかわかりやすい作品だと思います。


1. Obscene Repressed
2. Nails
3. Brutus
4. The Starving Beast
5. Smoke Through The Skull
6. Implore The Negative
7. Muzzle
8. Casual Piece Of Meat
9. Scarecrow
10. Mom,I Love You The Wrong Way
11. Undivided Dismemberment ★
12. Bound To Facial Plague
(2020/Season of Mist)
Time/38:24