むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Ruin Lust / Choir Of Babel

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Ruin Lust / Choir Of Babel


USのブラッケンドデスメタルバンドによる3作目フルレングス。


Vanum/Yellow Eyesといったバンドで知られるMike Rekevicsを中心に結成された彼等Ruin Lustが作り出すのは、重苦しく憎悪が渦巻く音の塊です。
無明の闇に突き落とすドゥーミーなデスメタルは、昨今復権したオールドスクールデスメタルの潮流にありつつ、よりブラックメタルの要素を吸い込んでいるので、また一種独特な個性を持っています。
「我々を殺せ!」と流暢な日本語も交えて殺意をぶちまけるM-1“The Choir Of Babel”からして音の塊としか形容できない演奏を披露しており、苦悶に満ちたVoやギターの断末魔が地獄の様相を呈しています。
ぐねぐねと這い回るようなギターのうねりが異様な空気を漂わせるドゥームデスとハードコア染みた衝動が混ざりあったM-2“Prison Of Sentient Horror”、獣のような咆哮と悪魔的なリフが渦を為す回転するようなグルーヴが心地好くもあるM-3“Worm”、粗野なノイズを立ち上らせながら黒々としたリフで聴き手の神経を逆撫でしながら爆走するM-4“Bestial Magnetism”、余裕のあるテンポでじっくりと地獄を描きながら疾走してからの作中最重最遅の闇で最期まで虚無に叩き落とすM-5“Rites Of Binding”と、30分にも満たないランニングタイムながらも彼等の世界観を余すことなく曝け出しています。
ブラッケンドデスメタルを標榜していますが、基本的にはOSDMに近いスタイルなので腐臭や死臭漂う今作は、一見さんお断りのような敷居の高さもあります。
馴染めば馴染むほど中毒性が増すスルメのような一枚ですね。


1. The Choir Of Babel ★
2. Prison Of Sentient Horror
3. Worm
4. Bestial Magnetism
5. Rites Of Binding
(2020/20 Buck Spin)
Time/29:25