むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Wake / Devouring Ruin

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Wake / Devouring Ruin


カナダのグラインドコア/クラスト/ブラッケンドデスメタルバンドによる5作目フルレングス。


粗暴ながらも壮大な、スラッジやポストメタルにも接近した方向は転換作となった前作“Misery Rites”よりも大胆になりました。
基盤となるのは前作から大きく取り入れたブラックメタルデスメタルですが、従来の彼等の源流でもあるクラストの質感、グラインドコアの爆発力なども織り込まれています。
仄かに悲しみが貫くギターが細波のように押し寄せてくるM-1“Dissolve And Release”を引き裂く乱打されるドラムの暴虐的な音像のクラストと儀式的なブラックメタルとが蜜月を交わすM-2“Kana Tevoro(Kania!Kania!)”の壮絶な繋がりに喝采
粗暴なブルデスという趣の躁鬱激しい演奏にインダストリアル由来のノイズが渦を為すM-3“This Abyssal Plain”、1分間のノイズに悲哀を込めるインストM-4“Elegy”、千々に乱れる感情をぶちまけながら悲壮的なギターを叩きつけるM-5“Mouth Of Abolition”、今作のハイライトとも言える鈍い響きのギターで神経を痛めつける反復を繰り返しながら侵食していくような約11分の大曲M-7“Torchbearer”、原始的な暴力性を孕んだ爆走を繰り広げるグラインドコアに立ち戻ったかのような即効性のあるM-8“In The Lair Of The Rat Kings”、北欧ブラックが如き吹雪のようなギターが冷たいブラッケンドデスM-9“Monuments To Impiety”を経て大地に空いた大穴のように空虚な雰囲気漂う奈落に突き落とされる雄大なM-10“The Procession (Death March To Eternity)”で乱高下の激しいながらも最終的には虚無感を抱く構成なのも素晴らしい構成。
壮絶さと聴きやすさが同居するDsOやUlcerateとも共振する音像はなかなか体力を持っていかれます。
要所要所のポイントはしっかりメタル/ハードコアのかっこよさを押さえていて、非常に感情豊かな力作です。
さらなる飛躍と進化を遂げた今後が楽しみになる一枚ですね。


1. Dissolve And Release
2. Kana Tevoro(Kania!Kania!)
3. This Abyssal Plain
4. Elegy
5. Mouth Of Abolition
6. Paean
7. Torchbearer
8. In The Lair Of The Rat Kings ★
9. Monuments To Impiety
10. The Procession (Death March To Eternity)
(2020/Translation Loss)
Time/45:46