むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Omega / Nebra

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Omega / Nebra


イタリアのポストメタル/プログレッシヴメタル/ブラッケンドスラッジバンドによる2作目EP。


ポストブラックメタルのDeadly Carnageのメンバーが中心となって結成したバンドです。
2作目となる今作ですが、非常に緻密に織り上げられた作品になっています。
EPとは言うものの、非常にボリューミーで実質的にフルレングスに近いですね。
基盤はスラッジやブラックメタルですが、ジャズのようなドラムや即興のようなギターセッション風のパートで凝った展開を聴かせます。メロディーラインは儚げで、プロダクションの妙もあってクリスタルのような透明感が極めて美しい。
その上で、憎悪を捻り出したような絶叫が縦横無尽に轟くのは、M-1“Pleias”から徹底しています。
全体的に重苦しさと独特の浮遊感が絶妙に合わさっているのにも、ポストブラックっぽさやアトモスフェリックブラックに通じる要素がありますね。この辺りの雰囲気を構築するセンスは見事と言うしかないです。
無機質なリフと機械的なドラムによるインダストリアルメタルに近い聴き心地を与えた上でオルガンシンセの教会音楽的な荘厳さが付与されるM-2“Axis”、暴虐的な絶叫と沼地のようなリフにキーボードと単音リフの物悲しさがどこまでも付きまとうM-3“Ratis”、軋んだノイズがシナプスのように繋がれていきマスコアに近い立体的でリズミカルなリズムセクションがもはやDjentにまで肉薄しており中盤以降の疾走感も凄まじくかっこいいM-4“Quadraginta”と長い長い4曲約53分。
静寂と激動を繰り返す構成ですが、要所要所に接続してくる美しい銀盤やアコースティックパートなど、聴きどころはかなり多い作品です。
楽曲を構成する一つ一つのパーツにインダストリアルやスラッジ、Djent、ジャズといった要素を感じられ、ポストロックに似た幻想的な雰囲気を人工的な空気で増幅させるのが素晴らしい。
決して聴きやすい作品ではないですが、ここまで徹底して透き通った世界観を構築する作品もないと思います。
傑作ですね。


1. Pleias
2. Axis ★
3. Ratis
4. Quadraginta
(2021/Dusktone)
Time/54:33

Score:9.4/10


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