（0） / SkamHan - むじかほ新館。　～音楽彼是雑記～

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（0） / SkamHan

デンマークのエクスペリメンタル/ポストメタルバンドによる2作目フルレングス。

（0）と書いて“Parentes0parentes”と読ませるこのバンドは、スラッジやブラックメタルを下敷きに組み上げたスタイルで、非常に詩情豊かな音を鳴らします。
実験的な要素がなくもないですが、かなりブラックメタル由来の悲壮なギターメロディーを重視しており、難解な要素をあまり表に出しません。
重苦しい演奏に反して高音域のグロウルも単純にかっこいい声質ですね。
間口を広く取り、聴けば聴くほど不可思議な演奏で聴かせる辺りが、絶妙に巧いと感じさせる作品であることはオープナーである豪快にドライヴするM-1“Tyndere End Hud”からも伺えるでしょう。
透き通った淀みのような物憂げなギターメロディーをゆったりと聴かせるM-2“Sjælstjæler”、さらに聴きやすいリフで緩やかな疾走を交えて咆哮を轟かせるメロデス並にわかりやすいM-3“Skarntyder”の序盤でかなり掴んできます。
丁寧なギターでじっくりと曲を転がしながら五月雨のようなハイハットで空間を漂白していくようなM-4“Rød Glorie”、太いベースラインでゴリゴリと耳を削り取りつつ無常感を滲ませたメロディーも美しいM-5“Sortfugl”、軋みを上げるような悲痛なギターでうねりながら海原に漕ぎ出す壮大なスラッジM-6“SkamHan”、感情を消していくようなアンビエントで幕を下ろすM-7“Alle Renses”と、雄大にアルバムを展開していく様がスリリングな作品に仕上がっています。
様々な要素を内包して混沌を作りながらも聴き手を決して突き放さない作風なので、変わり種ながらもシンプルにかっこいい作品だと言えますね。
重々しいながらもどこか爽快な一枚。