むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Blasphemer / The Sixth Hour

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Blasphemer / The Sixth Hour


イタリアのブラッケンドデスメタルバンドによる3作目フルレングス。


暗鬱なメロディーを暴虐的な演奏で押し出す作品です。
ブラックメタルを透過させたデスメタルという印象で、Behemothに近い雰囲気。
威圧的なグロウルはなかなか器用に歌い上げ、背徳を呼び起こす様はM-1“Let Him Be Crucified”から一貫しており、暗黒感の強いブルータルなデスメタルは、コーラスが映えるM-2“Hail,King Of The Jaws!”に見事に継承されています。
強い厭世感を滲ませたリフが渦巻くようなM-3“The Stumbling Black”、複雑怪奇に縦横無尽に走り回るギターを厳ついドラムでまとめ上げるM-4“Stabat Mater”の前半を総括する物悲しいギターインストM-5“Blessed Are The Wombs That Never Bore”を引き裂くブラストビートの激震が大地を削り揺らす邪悪極まりないテクニカルデスM-6“Lord Of Lies”の息を吐かせぬ流れは非常に良いですね。
密度の高いブラストで暴走をけしかけるもギターがギリギリ踏み留まる緊迫感のあるM-8“The Robe Of Mockery”、低い重心で艶かしいギターメロディーが渦を描くようなM-9“I.N.R.I.”の美しさや、かなりブラックメタルに寄せた寒々しい密室的で邪教の儀式を思わせるブラッケンドデスラッシュとも言えるM-11“The Deposition”と、本能的な演奏を主軸に据えて観客を踊らせつつ精神的に疲弊させる叙情が共存する作品と言えます。
イタリアのバンドでは割と珍しいタイプだと思いますが、BehemothやHateのようなバンドがお好きな諸氏にはお薦めしやすい邪悪な作品ですね。
タイトルから察するに、干魃がテーマなのかな?


1. Let Him Be Crucified
2. Hail,King Of The Jaws!
3. Stumbling Black
4. Stabat Mater
5. Blessed Are The Wombs That Never Bore
6. Lord Of Lies
7. Via Dolorosa
8. The Robe Of Mockery
9. I.N.R.I. ★
10. The Sixth Hour
11. The Deposition
12. De Profundis
(2020/Candlelight)
Time/42:32