むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Svart Crown / Wolves Among The Ashes

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Svart Crown / Wolves Among The Ashes


フランスのブラック/デスメタルバンドによる5作目フルレングス。


ドラムとベースを刷新してからの新作です。
邪悪で冷たいメロディーを主軸にした暴虐的な音は相変わらず、前作よりもよりブラックメタル由来のメロディータッチが増強した印象です。
彼らの作品では3作目“Profane”が最も禍々しく憎悪を叩きつけるような作風でしたが、今作では減退しており、人によって評価が分かれるやもしれません。
実質幕開けのキャッチーながらも激しく荒ぶるM-2“Thermageddon”にはBehemoth的な荒々しさとDeathspell Omegaにも通じる乱反射するような不協和音が同居しているのが最大の特徴。
威圧的なリフが上から下へと駆け巡り厭世感を滲ませるギターメロディーを攪拌させるM-3“Art Of Obedience”、重苦しいグルーヴに歪んだ金属ノイズを絡みつかせる邪悪な聖歌を響かせるM-4“Blessed Be The Fools”の起伏のある展開がいい塩梅。
激しい疾走と艶かしい情緒を交錯させるM-5“At The Altar Of Beauty”、おぞましく邪悪な歌を冷水をぶっかけるように聴かせるDsO的演奏に朗々とした歌唱が新機軸なM-6“Down To Nowhere”、とろみのある黒々とした沼に足が引きずり込まれるような妖しいメロディーが様々な地獄に展開していく大作M-8“Living With The Enemy”にいたるまで、統一された世界観が見事ですね。
ブラックメタルの冷酷さを保持したままデスメタルを展開おり、絶妙なバランス加減で割と人に薦めやすいかっこよさがしっかりある作品です。


1. They Will Not Take Out Our Death In Vain
2. Thermageddon
3. Art Of Obedience
4. Blessed Be The Fools
5. At The Altar Of Beauty
6. Down To Nowhere
7. Exoria
8. Living With The Enemy ★
(2020/Century Media)
Time/40:27