むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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The Spirit / Cosmic Terror

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The Spirit / Cosmic Terror


ドイツのデス/ブラックメタルバンドによる2作目フルレングス。


表題に“Cosmic”とあり、アートワークも宇宙的なタッチでサイケデリックな音かと身構えましたが、音楽性そのものは非常にわかりやすいメロディックブラックをやっています。
M-1“Serpent As Time Reveals”の寒々しいトレモロを掻き鳴らす感じからして、多くのブラックメタラー歓喜の声を上げるでしょう。
重量感のあるベースと乾いたドラムの上を暴虐的なリフが這う感覚を味わえるM-2“Strive For Salvation”、神経を傷つけ磨耗させるメロディーが印象的なプリミティブブラックの様相で魅せるM-3“Repugnant Human Scum”、更に沈み込む陰鬱な叙情にスッキリした味わいの苛烈なドラムで快感を呼び起こすM-4“The Path Of Solitude”で、個人的にはWatainの因子を非常に強く感じました。
ゆったりとした鉛色のギターを引き裂くようなパキッとしたドラムがブラストに雪崩れ込みリズムパターンを変え続けるメロブラM-5“Pillars Of Doom”、耳を引くトレモロピッキングの猛吹雪をまとわりつかせながら爆走から妖しく叙情的なパートを織り混ぜるM-6“The Wide Emptiness”、冷たく邪悪なギターに導かれて人を食ったようなひねたリズムが心地好さと爆走の快感が交互に押し寄せてくるアンサンブルが劇的なインストM-7“Cosmic Terror”と、かなりの完成度。
ドイツのブラックらしさはあまり感じないのですが、スウェーデンブラックメタルのような雰囲気は存分に感じられ、クリアで聴きやすい豪奢なプロダクションも入門に適していると思います。


1. Serpent As Time Reveals
2. Strive For Salvation
3. Repugnant Human Scum
4. The Path Of Solitude
5. Pillars Of Doom
6. The Wide Emptiness
7. Cosmic Terror
(2020/Art Of Propaganda)
Time/41:43