むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Ketzer / Cloud Collider

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Ketzer / Cloud Collider


ドイツのポストメタル/ブラックメタル/スラッシュメタルバンドによる4作目フルレングス。



1、2作目では突貫型ブラックスラッシュをやっていた彼らですが、前作で大々的に方向転換してポストメタルを導入しました。
個人的には嫌いではなかったですが賛否分かれるのも当然だったかと思います。
むしろ否の方が圧倒的でしたね。
それを受けての今作ですが、全体的には前作の派生であり、スラッシュメタルをやっているわけではありません。
ですが、幾らか初期の感じが配合されており、個性は増しました。
加えて、ブラックメタルのメロディー感が増強されており、ド派手なギターが唸りを上げて冷たく疾走するブラックスラッシュM-2“Keine Angst”が今作を象徴しています。
メランコリックなフレーズをじっくり聴かせつつ徐々に速度を上げていくM-3“Walls”に前作の因子を感じ取れます。
ブラストビートがけたたましく響きドライヴ感の強いベースがゴリゴリと唸るM-4“Cloud Collider”、グルーヴィーなリフで奈落の底に突き落とすドゥーミーな邪悪さを気持ち良く聴かせるM-6“The Wind Brings Them Horses”、溜めた鬱屈を爆発させる衝動的なドラムと少しデスロール的な空気もあるM-7“No Stories Left”まで、比較的ストレートに疾走する曲が並びます。
プリミティブブラック的な意匠のリフではじまるM-8“This Knife Won't Stay Clean Today”や寒々しいメロディーが胸を衝くドラマティックなM-10“Light Dies Last”に濃くブラックメタルの要素が出ています。
ここまで作品を変化させても一切ブレを感じさせないのは、実は結成時からメンバーが同じという結束力の賜物なのかも知れません。
スラッシュメタルだとは言えない作品ですが、変わらずクオリティの高さには舌を巻きますね。


1. The Machine
2. Keine Angst
3. Walls
4. Cloud Collider
5. Forever Death
6. The Wind Brings Them Horse
7. No Stories Left
8. This Knife Won't Stay Clean Today ★
9. (The Taste Of)Rust & Bone
10. Light Dies Last
(2019/Metal Blade)
Time/42:35