むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Marduk / Viktoria

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Marduk / Viktoria


スウェーデンブラックメタルバンドによる14作目フルレングス。


みんな大好きMardukのお時間ですが、前作の流れを汲む“戦争”をテーマにした作品に仕上がっています。
いつもの苛烈極まりないウォーブラックは勿論健在で、人力による極力過剰な装飾を使わないスタイルもしっかり継承されています。
ですが、今作は近年の彼らの作品の中でも異質と言えば異質。
作品全体がかなりコンパクトなのもそうですが、起爆剤となるシンプルかつ獰猛に吠えまくるM-1“Werewolf”が象徴するように非常にラフでいい意味で力が抜けています。
ブラックメタルそのものなのに、ハードコアに接近したような印象も受けました。それほど生々しいんですね。
粘るようなグルーヴで大地を蹂躙する戦車の名前を冠したM-4“Tiger I”、争いが終わり死屍累々とした戦場を表現したような腐臭漂うM-9“Silent Night”を除く曲は全てMardukらしい爆走曲です。
その思い切りの良さは名作中の名作“Panzer Division Marduk”を彷彿とさせますが、割とリフが手癖感があるので新鮮味は古参ファンであればあるほど薄いと思います。
ですが、鋭いブラストに絡みつく絶対零度のリフが気持ちよすぎる“これぞMarduk!”なM-2“June 44”でノルマンディー上陸作戦を歌う知的な側面や、ハンマーのような重量感でブラストを暴虐的に轟かせるM-7“Viktoria”に、何人が抗えましょうか。
生々しい音処理による影響か、Mortuusさん加入以降では最もハードコア的にも聴けるので、これよこれこれ!となるファンも多いと思います。
シンプルであるが故に、何度もリピートできる仕様が魅力ですね。
大きな驚きこそありませんが、貫録の一枚です。


1. Werewolf
2. June 44 ★
3. Equestrian Bloodlust
4. Tiger I
5. Narva
6. The Last Fallen
7. Viktoria
8. The Devil's Song
9. Silent Night
(2018/Century Media)
Time/32:54