むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Thy Antichrist / Wrath Of The Beast

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Thy Antichrist / Wrath Of The Beast


コロンビアのブラックメタルバンドによる2作目フルレングス。


2002年くらいから活動しているバンドの、14年振りの新作ですが、聴くのは今作が初です。
M-1“Desolation”の、フラメンコギターから幕を上げる異色ぶりが気に入りました。
今作の肝はまさにそこで、要所要所でフラメンコを吸い上げた叙情的なアコースティックパートが耳を引きます。
とは言っても、基盤は南米産らしい粗野で荒っぽいスラッシーなブラックメタルですが、レーベルがNapalmなこともあってか、録音はすこぶる良くメジャー志向で、ベスチャルな香りはほとんどしません。
非常に乾いた音作りのおかげで、明瞭なドラムが忙しなくリズムチェンジを繰り返すM-2“Metal To The Bone”や、叙情的なフラメンコを合間に合間に挟みながらもかなり暴虐的な刻みで迫ってくるM-5“No Place Like Hell”のクリアな美しさが際立っているように思います。
中でも美しいギターを全面に押し出し時に泣き叫ぶようなM-6“Nightmares”の複雑な音響処理はありそうでなかなか見当たらないもの。
ずらしたような気持ち悪いギターがやけにメロディアスなフレーズをなぞりデスメタリックに突撃していくM-7“Crown Of Lies”、Nileのようなエジプトっぽいメロディーを弾くイントロからMardukみたいなウォーブラックに変化するM-8“Skeletons Of Disgrace”辺りを聴いているともはやデスメタルと言ってもいいような気がしてきます。
そういう意味では中途半端かも知れませんが、骨格自体はしっかりしているので、NileやBehemoth、Hate辺りが好きな人には薦めやすいです。
個人的にはもっとフラメンコをやりすぎなくらい押し出して個性を高めて欲しいですね。


1. Desolation ★
2. Metal To The Bone
3. The Great Beast
4. A World Burnt To Ashes
5. No Place Like Hell
6. Nightmares
7. Crown Of Lies
8. Skeletons Of Disgrace
9. Walking Through The Soul
10. The Last Breathe -Outro
(2018/Napalm)
Time/41:31