むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Bergraven / Det Framlidna Minnet

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Bergraven / Det Framlidna Minnet


スウェーデンブラックメタルバンドによる4作目フルレングス。



Stillaのメンバーによるバンドで、初めて聴きます。結成年からすればこちらが母体かな。
Metallumによれば、エクスペリメンタルブラックに分類されますが、そういった歪で実験的な要素よりも、全体的に詩的で叙情的な印象が終始盤を支配しています。
そのため、かなりとっつきやすいのでは。
幽玄で、どことなくオーガニックな音像を湛えているので、70年代のプログレOpeth辺りを彷彿とさせる場面も多く、特に掴みのインストであるM-1“Minnesgava”から象徴的。
流れるように不可思議なメロディーが渦巻き現実感を消失させながら凶悪で生々しいブラックメタルパートを表出させるM-2“Allt”、サックスとトレモロで渋味のある官能をじっくり聴かせるアコギの調べも美しい秋めいたブラックメタルM-3“Den Foljsamma Plagan”、泣き声のようなギターと溶けるような美しさが物憂げに沈み込む色鮮やかなM-4“Minnets Melankoli”までのグラデーションのある空気が非常に素晴らしい。
後半に差し掛かるとグッと夜の空気を濃くしていく印象で、星空が瞬くような夜空を電子音と銀盤で表現している静寂を暴風雪で掻き乱すM-5“Leendet Av Hans Verk”、煌めきを帯びた美メロを寂寥としたトレモロで舞い上がらせるM-6“Den Dodes Stigar”、重圧感のあるリフに浮遊感のある音を合わせて静動を慌ただしく切り替えていくM-7“Till Priset Av Vart Liv”、M-1とは真逆の暗く重い音に乾いたドラムが乱舞して幕を下ろすインストM-8“Eftermale”に至るまで、一貫した美意識が堪能できます。
詩情豊かなメロディーの美しさに酔いしれる秋の宵にもぴったりな作品だと言えるでしょう。
アートワークの物憂げな色合いも合致していますね。
全編スウェーデン語による歌なので、少し敷居は高いかもしれません。
ちなみにタイトルは、“失われた記憶”という意味だそう。


1. Minnesgava
2. Allt
3. Den Foljsamma Plagan
4. Minnets Melankoli ★
5. Leendet Av Hans Verk
6. Den Dodes Stigar
7. Till Priset Av Vart Liv
8. Eftermale
(2019/Nordvis)
Time/54:18