Tomb Mold / Planetary Clairvoyance
USのデスメタルバンドによる3作目フルレングス。
絶えずハンマーで殴り続けられているかのような暴力性。
USフロリダ産デスメタルの影響を色濃く受けた音楽性ながら、極めて完成度の高い演奏を聴かせてくれます。
底無し沼に引きずり込まれるような鈍く重たいリフでひたすら責めてきますが、時に美しいギターメロディーをぶっ込んでくるのが嬉しいですね。
深みとえぐみのあるグロウルも魅力的であり、何気に緩急自在のドラムも素敵な塩梅。
猟奇的な空気で充満したギターがやけにくっきりしたフレーズを弾く威圧的なM-1“Beg For Life”から象徴的。
スラッシーな香りを漂わせるギターでザクザクとすり潰すアッパーなデスメタルM-2“Planetary Clairvoyance”、獣のような咆哮にギュルギュルとギターが這い回る重圧感と共に爆走するM-4“Infinite Resurrection”、圧殺される感覚から立ち上るキャッチーなリフにドゥーミーな薫りがまとわりつく爽快感と汚泥を行き交うM-5“Accelerative Phenomenae”、わかりやすく疾走する序盤から一気に奈落へと突き落とすドゥームデスの味わい深さに舌を巻くM-6“Cerulean Salvation”、重厚なリズムにノイジーながらも美しさを感じさせるギターが絡みつく熱情的なM-7“Heat Death”に到達する頃には、涅槃の境地に達しているはず。
ドローンノイズと美の極致を描いた筆致豊かなギターが聴けるインストM-3“Phosphorene Ultimate”が作品のおぞましさを際立たせているのもいいですね。
決して日の目を見ることのない陰惨さを滲ませた作風ながら、極めて聴き心地が良い作品です。
デスメタル愛好家の皆様は外せない一枚だと思います。
アートワークも美しさとインナーの汚い黄緑の対比がまた収集心をくすぐりますね。
1. Beg For Life
2. Planetary Clairvoyance
3. Phosphorene Ultimate
4. Infinite Resurrection
5. Accelerative Phenomenae ★
6. Cerulean Salvation
7. Heat Death
（2019/20 Buck Spin）
Time/38:29
