むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Bones UK / Bones UK

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Bones UK / Bones UK


UKのインダストリアル/オルタナティブロックデュオによる初フルレングス。



非常に先鋭的ながら、時に郷愁も感じさせる今作。
Rosie BonesとCarmen Vandenvergで結成された二人組の音楽性は、ヘヴィなインダストリアルを骨格にしたダークなボトムに、時に派手に暴れ回るブルースやブリティッシュハードを基盤にしたギターを折衷したもの。
例えるなら、Billie EilishとJoan JettとJack Whiteをがっぷり噛み合わせたような不思議なものですが、2人のバランス感覚が非常に優れているためか極めてクール。
David BowieのカバーであるM-5“I'm Afraid Of American”を聴けばわかるように、彼女たちの源泉は80から90年代のパンクやロックにあります。
だからと懐古に終わらず、ビート感やギターの立たせ方やプロダクションは非常に現代的かつ未来的なインダストリアルを咀嚼しています。
観客が全員男という象徴的なPVも撮られたM-1“Beautiful Is Boring”の暗い狂騒、トラップのような隙間を縫うようにノイジーなギターとキャッチーな歌メロが聴けるM-2“Filthy Freaks”、畳み掛ける歌と激しく歪みまくるギターとメリハリの効いたビートがクールなM-3“Pretty Waste”、冷たく官能的なメロディーが這い回るダビーなM-4“Leach”の流れで、彼女たちが多彩な楽曲をまとめる手腕に長けているのがわかるでしょう。
仄かに明るいメロディーが強調されたR&Bに接近したM-6“Souls”や、朴訥としたカントリーやブルースを表現したM-10“Black Blood”であっても、芯にあるダークネスは些かも揺らがずより作品をへヴィにしています。
抑制されたビートにノイジーなギターが炸裂するキャッチーなM-8“Choke”、作中屈指の重圧で大地を揺らがすラウドなM-9“Creature”、じっくりと腰を打ち付ける重厚なエレクトロビートにド派手なブルースギターが弾き倒されるM-12“Girls Can't Play Guitar”に到るまで濃密な緊迫感と殺気が渦巻いています。
アクセントにややポップなエレクトロポップM-7“Skeletone”やフロアを狂騒の渦に叩き込むアッパーなM-11“Limbs”が機能的に配置されているのも嬉しいです。
凄まじい熱量を持った作品であり、二人ともがキャラ立ちしているというかカリスマ性を感じさせるのも頼もしい大傑作です。
意外だったのは、デビューがSumerianからだと言うこと。
レーベルカラー的にも非常に尖った存在だということは疑うべくもないですね。
どこまでもクールで、かつスタイリッシュながら非常に凶暴で美しい作品。


1. Beautiful Is Boring
2. Filthy Freaks
3. Pretty Waste ★
4. Leach
5. I'm Afraid Of American
6. Souls
7. Skeletone
8. Choke
9. Creature
10. Black Blood
11. Limbs
12. Girls Can't Play Guitar
(2019/Sumerian Records)
Time/38:39