むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Malformity / Monumental Ruin

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Malformity / Monumental Ruin


USのデスメタルバンドによる初フルレングス。



個人的に、完璧なデスメタルの体現です。
初となるフルアルバムですが、結成自体は1991年と古く、1994年に解散、2014年に再結成。30年越しとなるフルアルバムが今作です。
その音楽性ですが、荘厳で邪悪。そして、シンプルに強靭なデスメタルを聴かせてくれます。Malevolent CreationやCannibal Corpse、Immolation辺りのデスメタルを彷彿とするのは世代的なものもありますよね。スラミングスレスレの残虐なダウンパートや、ObituaryやAutopsyにも通ずる血腥くドロッとしたリズムを織り込むなど、歴史を感じさせる作り込みの綿密さ。高低差を感じさせる展開やハイとロウを行き交うグロテスクなヴォーカルのコンビネーションは、M-2“Perverse Apotheosis”から聴けます。キレのあるリフと徐々に加速するドラムの心地好さに首を振るグラインディングするM-3“Facemelt Bloodgrinder”、奈落に落とすようなドゥーミーなリフを威圧感たっぷりに見せつける不気味なM-4“Into Ruin”、ミドルテンポからスラッシーなスピードを織り混ぜて聴く者を蹂躙するM-5“Monument to Decay”と、前半だけでもかなり緻密に作り込んだデスメタルを展開しています。
乱打するスネアの抜けの良さに反して重苦しいリフが癖になるM-6“Degenerative Sequences”、しっとりしたギターと劇伴のようなSEを絡めて邪悪で壮大なメロディーを小気味の良いテンポで聴かせるM-7“Immolated Archetype”、重圧感のあるリフでエキゾチックな雰囲気を構築する暗黒デスメタルM-8“False Dichotomy”の中盤の抜かりない構築力に舌を巻きますね。
軋むリフで首を絞めてくるような陰惨な雰囲気を充満させたブルータルなM-9“Lost Necropolis”、ハンマーのようなギターと獣のようなガテラルとグロウルの掛け合いが軽やかなドラムに合わさるM-10“Lifeless / Mindless”、どんよりとのしかかるようなリフの重圧と疲労感を消し飛ばすようなアグレッションの相乗で脳が混乱する本編ラストのM-11“In Corrosion”と、巧みにスピードを操る妙技が光る構成です。後半になればなるほど暗黒感を強めてくるので、オールドスクールデスメタルが好きな人も楽しめます。
M-12“Rapturous Damnation”とM-13“Unraveling”は2018年のシングルをミックスし直して収録したもの。
30年熟成された憎悪が凄まじいカオスを作り出した大傑作だと思います。デスメタルが好きな人ならばまず外さない一枚ですよ。


1. And I Beheld...
2. Perverse Apotheosis
3. Facemelt / Bloodgrinder
4. Into Ruin ★
5. Monument to Decay
6. Degenerative Sequences
7. Immolated Archetype
8. False Dichotomy
9. Lost Necropolis
10. Lifeless / Mindless
11. In Corrosion
12. Rapturous Damnation[2021 Mix]
13. Unraveling[2021 Mix]
(2021/Unspeakable Axe Records)
Time/58:33

Score:10/10


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