むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Benighted / Necrobreed

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Benighted / Necrobreed


フランスのブラックメタル//ブルータルデスメタル/デスグラインドバンドによる8作目フルレングス。


凶悪なまでの凄まじさは更に力を増した新作です。
前作で見せたデスコア近くまで接近したフットワークの軽さは控え目に、彼らの最初期でもあるブラックメタルの冷たい叙情を少し戻しています。
前作を聴いた時に、初期っぽさが戻ったら嬉しいなと思ってたので歓喜でした。
ただ、音像そのものはギチギチに締め上げた無機質なブルータルデス/デスグラインドであることは変わっていないのでご安心を。
様々な歌唱で聴き手を圧倒し捩じ伏せるJulien TruchanのVoは人外の域に達していて、Anaal NathrakhのV.I.T.R.I.OL.や、Cattle DecapitationのTravis Ryan等と並び称されるに値するシンガーだと思います。
矢継ぎ早に吐き出されるマシンガンのようなガテラルは彼の個性だし、Voのスイッチも物凄く自然です。
今作の最大の魅力は、光の速さで脱退してしまったNecrophagistでも豪腕を振るったRomain Goulonのドラム。
前任者ほどの正確無比な超人じみたテクニック押しではないにしろ、いい意味でラフなプレイは、ハードコア的な衝動を感じさせていて今作のスタイルには非常にマッチしています。
実質オープナーである激烈なリズムチェンジを繰り返すM-2“Reptilian”からブラッケンドなデスグラインドを聴かせてくれます。
うっすらトレモロを効かせた縦横無尽なリフも今作の魅力の一つ。
M-3“Psychosilencer”やM-7“Necrobreed”といった人外速度で攻め立てる直球デスグラインドな曲から、今作が非常に本能的な作品であることが窺えます。
M-8“Monsters Make Monsters”やM-9“Cum With Disgust”、M-11“Reeks Of Darkened Zoopsia”のように黒い叙情をひねくれ曲がった展開で聴かせる猟奇的な曲はBenightedの真骨頂。
猟奇的に捩れたリフのうねりを豪速球で投げてくるM-10“Versipellis”が特濃で素晴らしいですね。
今作のブラックメタルの揺り戻しは、限定盤ボーナストラックであるMarduk“Christraping Black Metal”のカバーM-14の影響かと思うほどピタリとハマっています。
持ち前の猟奇的な世界に黒く叙情的な味付けがつけられた今作は、このバンドのファンをやってて良かったと思える作品です。


1. Hush Little Baby
2. Reptilian
3. Psychosilencer
4. Forgive Me Father
5. Leatherface
6. Der Doppelgaenger
7. Necrobreed
8. Monsters Make Monsters
9. Cum With Disgust
10. Versipellis ★
11. Reeks Of Darkened Zoopsia
12. Massgrave
13. Biotech Is Godzilla(Sepultura Cover)
14. Christraping Black Metal (Marduk Cover)
(2017/Season of Mist)
Time/43:26
M-13,14デラックス盤ボーナストラック