むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

「傑作!」を連発するレビューブログを目指しています。コメントは記事ページから書込・閲覧頂けます。

All That Remains / Madness

f:id:bluecelosia:20171019223052j:plain
All That Remains / Madness


USのメタルコア/ラウドロックバンドによる8作目フルレングス。


メタルコアとして絶大な人気のあるバンドですが、今作は今までとはガラリと作風を変えてきました。
端的に言えば、オルタナティヴロック化がかなり進んでメタルコア成分が大きく減退しました。
前作からその片鱗は見せていましたが、ここまで振り切るとは思っていませんでした。
こういう変化は、昨今ではBring Me The Horizonが成功し、逆にSuicide Silenceが大爆死を遂げてしまいましたが、All That Remainsはどうか。
大きく外しはしないが、大きく当たりもしない感じといった体ですが、作品の完成度は結構高いです。
そういう意味では、バンドの試みは成功しています。
そもそも、フロントマンのPhilip LabonteはクリーンVoにも定評あるシンガーなので、様々な音楽スタイルがない交ぜになった今作では、非常に様になっています。
今作、M-1“Safe House”やM-10“Trust And Believe”といった従来の彼ららしい曲は手癖がついていてあまり印象に残らないのですが、ミドルの曲やスローな曲の方がメロディーの良さがもろに出ています。
重厚なビートで浮遊感たっぷりにピアノも聴かせるアンセミックなM-2“Madness”はもちろん、ブルージーなギターと淡々としたドラムが雄大なアメリカーナを演出するM-4“If I'm Honest”といった曲は気持ちいいです。
不穏かつダウナーなビートから一気に爆発するM-6“Louder”の実にバランスのいいポップとハードコアの融合は物凄くかっこよく私好みでした。
古くからのファンでも、彼らのメロディーとPhilipのクリーンVoが好きな方は好きなアルバムだと思いますが、ガツガツしたハードなメタルコアバンドATRが好きな方には不向きです。
すでにメタルコアではありませんしね。
歌を活かした円熟のロックアルバムとしてはなかなかの作品です。
ちなみに今作の幾つかの曲は、Taylor Swiftに影響されたんだそう。


1. Safe House
2. Madness
3. Nothing I Can Do
4. If I'm Honest
5. Halo
6. Louder ★
7. Rivercity
8. Open Grave
9. Far From Home
10. Trust And Believe
11. Back To You
12. Never Sorry
13. The Thunder Rolls(Garth Brooks Cover)
(2017/Razor&Tie)
Time/50:17