むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Oceans / The Sun And The Cold

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Oceans / The Sun And The Cold



ドイツ/オーストリアのポストメタルバンドによる初フルレングス。


ややこしいですが、The Oceanでも...and Oceansでもなく、Oceansが名前です。
ドイツのブラックメタル/メタルコアバンドのVargから脱退した3人が結成したのがこのOceansで、音楽性は少しゴシックメタルのほの暗い雰囲気に重たいデスメタルの要素を加えた、例えるならKatatoniaが少しデスメタルに寄せたようなもの。
そのため、M-1“The Sun And The Cold”を聴いてもわかるように、しゃがれたクリーンの老成したような静寂と厳ついグロウルによる入り乱れが彼等の主軸となり、ブラックメタル経由のブラスト等を多用してブレイクダウンを作り上げています。
物寂しい雰囲気を漂わせるクリーンと荘厳かつ暴虐的なコーラスを対比に使ったM-2“We Are The Storm”、SF映画のような雰囲気の中で凄まじい手数足数のドラムの乱打や威圧感のある邪悪なグロウルが癖となるM-3“Dark”、退廃的で耳に残る美しいメロディーを背景にひび割れるような歌唱を轟かせるゴシックメタルM-4“Paralyzed”と序盤から意外と癖のある曲で掴んできます。
一転浮遊感のあるリフで軽やかかつキャッチーに聴かせるM-5“Take The Crown”、単音リフも一瞬顔を出しつつ慟哭に咽ぶメロデス的演奏が熱いM-6“Shadows”、張り詰めた銀盤の冷たさに歌が凍りつくバラードM-8“Polaris”、アき心地を妖しいスポークンワードに盛り込んだスラッジに寄せたM-10“Water Rising”、光を感じさせる空間に絶唱が天へと昇るM-11“Hope”と、後半にいくとポストメタルの要素がかなり強く出てきます。
とは言え、その聴かせ方はかなり聴き手に寄せているのでわかりやすく、難解ではないです。
ただ、クリーンの癖は強く、美声とは言えないので聴く人は少し選ぶかもしれません。
グロウルやメタリックで暴虐的な厚みある演奏は文句無しにかっこいいし、冷たいメロディーの美しさはハッとするのでこれからが楽しみな作品ですね。



1. The Sun And The Cold
2. We Are The Storm
3. Dark
4. Paralyzed
5. Take The Crown
6. Shadows ★
7. Legion Arise
8. Polaris
9. Truth Served Force Fed
10. Water Rising
11. Hope
(2020/Nuclear Blast)
Time/49:40