むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Black Death Cult / Diaspora


Black Death Cult / Diaspora


カナダのブラックメタル/デスメタル/ドゥームメタルによる2作目フルレングス。



A.M.S.G.やAntediluvianで知られるRephaim Specterを中心にした5人組です。
前作は比較的ストレートなことをやっていましたが、今作で一気に特異性を発揮しました。
Antediluvianでも聴けた原始的で黒々とした不協和音を中心に、ドゥームデスを構築しています。
一切の光を感じさせない暗黒空間を構築していますが、Antediluvianほど混沌とした原始的なものではありません。
かと言って、A.M.S.G.ほど非人間的な無機質さがあるわけでもありません。
人肌の温もりの気持ち悪さを感じると言いましょうか、そういうベタっと張り付いてくるような感情の湿気を感じる暗黒なんですよね。
ブラストビートによるスピード感といった、わかりやすい要素は一切なく、基本は適度に疾走したりトライバルなリズムアプローチを披露したりしています。
Voも低い唸り声やグロウルだけでなく、猫のような高音金切り声や薄気味悪いクリーンなど意外にバリエーションが豊か。グロウル以外の部分が特異的というか、常軌を逸している感覚に陥りますね。
特に印象深いのはキーボードです。重たく刻むギターリフの間隙を縫い、フレーズや暗黒空間に意識を飛ばすような奇妙な音を放り込んでいるのはM-1Neon Cross”から聴けます。
重々しいバスの疾走感に黒いリフの刻みを合わせてサックスの音色にも似たキーボードが耳に残るM-2“Knights of the Headless Order”、苦悶に満ちたうめき声とばたついたドラムのストップ&ゴーを繰り返すドゥーミーなM-3“Bloodworms”、金切り声と反復で絶望感のあるメロディーを垂れ流すM-4“River of Death”、適度に心地良い疾走感とスペーシーなキーボードが交錯するサイケデリックなポストパンクM-5“Inverse Moon”、重苦しいギターの煽りとグロウルで攻撃性を放射しながら素っ頓狂な裏声で不気味さを加速するM-6“The Fractal Conspiracy”と、夢見が悪くなりそうなどす黒い作品に仕上がっています。
昨今潮流を作りつつあるいわゆるディソナント・デスメタル(不協和音デスメタル)に属するバンドであることは明白。
Gorgutsからの影響も非常に感じますが、前述の通り情緒的でもある一風変わったデスメタルです。
Profound Lore所属のバンドらしい一筋縄でいかない癖の強さがあるので誰にでも薦められるわけではありませんが、好きモノの皆様にはオススメですよ。
何食ってたらこんな得体のしれない闇を思いつくのか知りたいものです。



1. Neon Cross
2. Knights of the Headless Order ★
3. Bloodworms
4. River of Death
5. Inverse Moon
6. The Fractal Conspiracy
(2022/Profound Lore)
Time/37:51


Score:8.8/10


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