むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

「傑作!」を連発するレビューブログを目指しています。コメントは記事ページから書込・閲覧頂けます。

Ghastly / Death Velour

f:id:bluecelosia:20181028193535j:plain
Ghastly / Death Velour


フィンランドデスメタルバンドによる2作目フルレングス。


原初の北欧デスメタルを思い出す音像です。
個人的に、最初期のAmorphisを彷彿としました。
ドゥーミーかつ破壊的なデスメタルに、耽美でほの暗いメロディーを折衷したスタイルで、じっくり聴かせるタイプ。
真新しいことはしていませんが、リフの重ね方にせよ、ブラストに頼らないドラムにせよ、非常に丁寧に作り込まれています。
ロディアスなデスメタルであり、メロディックデスメタルではないところが肝で、地味と言えば凄く地味です。
昔の北欧デスメタルを彷彿とさせる要素はVoにもありますね。
荒っぽいグロウルですが、声質の良さもあって獰猛でやけにかっこよくて素敵。
ゆっくり迫る不気味なインストM-1“The Awakening” から世界観にどっぷり入り込み、耽美なリフを執拗に反復するドゥームデスのM-2“Death By Meditation”で彼らの目指す位置が良くわかります。
粗暴に叩かれるドラムにトレモロが絡みつく疾走感が心地好くキュルキュルと泣き叫ぶようなギターソロも素晴らしくオルゴールのようなメロディーと共にテンポを落とす幕引きも印象的なM-3“Whispers Through The Aether”、暴虐のリフとゴリゴリとしたベースラインが異様な格好良さを漂わせる殺伐としたM-4“The Magic Of Severed Limbs”に続くデスメタルらしからぬ爽やかなタイトルに反しておぞましいメロディーが圧殺するグルーヴで疾走するM-5“Velvet Blue”の流れは非常に美しいです。
腹に溜まる重苦しいギターリフがやけにメロディアスなフレーズに転じてズルズルと引きずるようなM-6“Violence For The Hell Of It”、90年代北欧デスメタルを彷彿とさせる地獄のグルーヴをおぞましくも美しいギターメロディーと共に叩きつけるデスドゥームへ転じる終幕に相応しいM-7“Scarlet Woman”と統一された世界観に感嘆する一枚です。
コンパクトにまとめられたレングスサイズではありますが、結構長めな曲も数曲配置されています。
その音楽性から地味さが目立ちますが、もっと話題に上がってもおかしくないハイクオリティな完成度の作品です。
アートワークも神話の一場面を切り取ったような美しさがありますよ。


1. The Awakening
2. Death By Meditation
3. Whispers Through The Aether
4. The Magic Of Severed Limbs ★
5. Velvet Blue
6. Violence For The Hell Of It
7. Scarlet Woman
(2018/20 Buck Spin)
Time/37:12