むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Railgun / Tension

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Railgun / Tension


カナダのメタルコア/メロディックデスメタルバンドによる初フルレングス。



超弩級の新人が現れました。
結成それ自体は2009年ですが、E.Metallumを見ても、様々なバンドに属しているわけでなく、このバンド一本に専念していたようです。
その音楽性は、流麗かつ攻撃的なギターを軸にしたテクニカルデス寄りのメロデス
近未来型の、モダンメロデスの様相を見せつつ王道のメロデスのようでもあり、メタルコアのブレイクダウンで緊張感を持たせたり、しかもそれがかなり自然。
グルーヴメタルもかくやなユニゾンを華麗にキメたかと思えば、Arch Enemy並に弾き倒すギターソロを惜しげもなくぶっ込んできます。
二人いるどちらのギタリストの引き出しかは不明ですが、ジャジーなブレイクを挟んだり、M-5“Confinement”やM-9“Drifter”のようにフラメンコの要素を違和感なく織り込むなど、かなりスキルフルだと思います。
のっけから合唱を呼び込みそうなコーラスがきらびやかなギターと掛け合うM-1“Fear The Brave”や攻撃性を重視したリフの絡みから一気にメロディアスなソロへと雪崩れるM-2“Tension”の流れが完璧。
開幕クラシカルなギターでハッとさせて跳ね回るリズム感で怒涛の展開でノらせるM-3“Legacy”、ロングトーンを艶やかに聞かせながらふんだんにギターメロディーを紡ぎ上げる疾走感が心地好いM-4“Detonate”、凄まじい緊張感のある刻みのリフで立体的に走り回るM-6“Sinner In Silence”まで息を吐かせません。
そのため、哀愁感のあるギターが哭く王道のメロデスメタルコアを行き交うM-7“Horns To The Sky”がいい塩梅に機能しており、実質終曲であるM-8“Underdog”の苛烈さに拍車をかけています。
とにかく新人離れした演奏センスであり、ギターだけでなくVoもハイピッチのスクリームや噛みつくようなグロウルを使い分けていてかなりかっこいいです。華がありますね。
9曲33分と非常にコンパクトな作品なのがもったいないというかもっと聴きたいところ。せめてもう3曲追加して12曲で45分くらいが個人的に程よいバランスでした。
今作、プロダクションもかなり良好なのですが、今のところBandcampでDL販売しかされていないようです。
フィジカルで欲しいですが、どこか引き取ってくれないですかね。
売れる音だと思いますよ。


1. Fear The Brave
2. Tension
3. Legacy
4. Detonate
5. Confinement ★
6. Sinner In Silence
7. Horns To The Sky
8. Underdog
9. Drifter
(2018/自主制作)
Time/33:09