Zemeth / Rouge Noir
日本のメロディックデスメタルプロジェクトによる初フルレングス。
やりすぎなほど過剰にメロディーを聴かせるタイプの独りバンドです。
何しろ、バンドというか彼の活動コンセプトが“最高のメロディーを作る”ですからね。
今作はメロデスの体をとっていますが、今後その枠を取っ払う可能性もあります。
その今作の特徴は、とにかく派手でクサいメロディーを前面に押し出していること。
乱暴に言えば、今作においてギターやピアノ、ドラムトラック、Voでさえも主役ではなく、主役はあくまでメロディーなわけです。
今作はArch Enemy、Children Of Bodom、In Flames、Gyze辺りの影響が見え隠れしますが、最も大きなリソースとして上がるのは日本ファルコムのゲームです。
それはM-1“Valentine Libido”やM-7“Fateful Despair”で聴ける狂おしいメロディーから顕著で、特にザナドゥやYsシリーズを遊んだことのある人なら絶対ニヤニヤしてしまうでしょう。
プロジェクト名であるゼメスにしろ、Ys6に地名として出てきますからね。
雨音を切り裂くように慟哭のメロディーが冴え渡るM-2“Lavendel”や優美なピアノとストリングスに派手なリフが絡みつくM-9“Scarlet Nightmare”、ほとんどメロスピみたいな爆走にネオクラシカルなギターが華麗に舞い続けるM-11“Deadly Nostalgia”といった曲は早くもアンセムになりそうな存在感。
弱点は、打ち込み感のあるドラムトラックの薄さですね。
これをカバーしようとしてか、ギターやストリングスの音圧を上げているのと、全曲が爆走なので若干聴き疲れしてしまうのとメロディーはいいけど金太郎飴状態なので、勿体ないなと思います。
そういった弱点も凄まじい勢いでねじ伏せる力強さのある理想的な初作ではありますし、今後には大いに期待できる伸び代は十二分にあります。
1. Valentine Libido
2. Lavendel
3. Midnight Defloration
4. Absolute Paranoia
5. Rouge Noir
6. Bloody Frozen Cosmetics
7. Fateful Despair
8. Genocide Moon
9. Scarlet Nightmare
10. Fxxk You Bitch
11. Deadly Nostalgia ★
12. Rosen Blizzard
13. Melancholia
(2017/自主制作)
Time/63:36