Jono / Life
スウェーデンのロックバンドによる4作目フルレングス。
圧倒的な歌によって支配される作品です。
元はJohan Norrby(Vo)のソロプロジェクトではじまったようで、徐々にメンバーを集めていったバンドです。
このバンドの肝はとにかく憂いを帯びたメロディーと圧倒的な歌です。
ハイトーンの安定感は無論、低音の紳士的な声質、中音の優しげかつ物憂げなニュアンスと、かなり聞き惚れる美声です。
全ての要素が、主軸をもり立てるために存在しています。
特に耳を引くのが繊細に零れ落ちるようなキーボード。
熱を帯びた歌に寄り添うように、とにかく物憂げな銀盤を聴かせてくれます。
そして、劇的に展開する歌に寄り添う演奏もしっかりツボを押さえて派手に盛り上げていきます。
この辺りはQueenを間違いなく彷彿とさせますが、現代的な意匠を盛り込むことも恐れないため、個人的にはMuseを思い出しました。
特にエレクトロな浮遊感をギターにまとわりつかせて軽やかに疾走するM-2“Crown”はその典型です。
かといってオープナーであるM-1“Sailor”はグラムハードロックのようにギラついているし、戯曲的な色を濃くするM-7“My Love”は前述のQueen色が濃いんですよね。
聴いているとスウェーデンよりはイギリスのバンドのような錯覚を及ぼすほど、英国的な情緒に満ちています。
躍動感溢れるリズムがサーカスっぽいM-8“The Magician”や、物憂げなメロディーと情感たっぷりな珠玉のバラードM-3“No Return”、哀しすぎるメロディーを奏でるピアノに寄せてか細くそして力強く歌うオペラ調の幕引きM-10“The March”の名曲感は素晴らしい。
ハードロックが好きな人もオルタナティブロックが好きな人もまとめて聞き惚れる歌声を堪能できる、普遍的な魅力に溢れた傑作ですね。
1. Sailors
2. Crown
3. No Return
4. On The Other Side
5. Downside
6. To Be Near You
7. My Love
8. The Magician
9. Trust
10. The March ★
11. Crown(Remix)
（2017/Frontiers）
Time/61:14
