Darktribe / Voici l'homme
フランスのメロディックパワーメタルバンドによる3作目フルレングス。
憂いを帯びたメロディーをじっくり聴かせる作品で真新しいものはないですが、非常に丁寧に作られている作品です。
ガツガツと熱く迫るバンドでもなく、メロディアスハードの爽快感もそこかしこにあるのがいいですね。
落ち着いていて気品すら感じさせる扇情度の高いメロディーはM-2“Prism Of Memory”から炸裂しており、悠然としたグルーヴが渦巻く表題曲M-3“Voici l'homme”は冷たく美しく、派手なギターを乱舞させ重厚に迫るM-4“A Silent Curse”にSymphony Xのような香りを嗅ぎ取れます。
心を引っ掻くようなダークなメロディーとメロデスもかくやな激しいリフの刻みに首を振るM-5“Faith And Vision”、シンプルなドラムと共に疾走する煌めくメロハーのように軽やかなM-6“Back In Light”、大地から昇るように伸びやかなハイトーンが爽快感を作り上げる美しく駆け抜けるM-7“Under The Tree Of Life”の中盤の美しさはなかなかのもの。
力強いドラムがなかなかのBPMで駆けていき爽やかかつ悲しいメロディーで涙腺を刺激するM-8“According To Darkness”、清廉なギターが儚いメロディーをゆったりと奏でて壮大なクワイアに乗せるバラードM-9“The Hanger Theory”、ザクザクとしたリフでスラッシーな顔を覗かせて幕を下ろすパワフルで感情を煽るコーラスで作品を〆るM-10“Symbolic Story”までかなりのメロディーの洪水っぷりを味わえます。
クサメロと言えばクサメロですが、かなりの構築力を見せるしあからさまに煽りまくる作品でもないのに至るところにフックがあるのが素晴らしい。
濁りのない明瞭でよく伸びる歌の巧さも本作の肝です。
何気にかなりの実力派で、飽きずに最後まで聴かせる押し引きも感動的な傑作ですね。
1. A March For A Prophecy
2. Prism Of Memory
3. Voici l'homme
4. A Silent Curse
5. Faith And Vision
6. Back In Light ★
7. Under The Tree Of Life
8. According To Darkness
9. The Hanger Theory
10. Symbolic Story
（2020/Scarlet）
Time/50:25
