むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Holding Absence / Holding Absence

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Holding Absence / Holding Absence


UKのポストハードコアバンドによる初フルレングス。


陰影に富んだ美しいメロディーを散りばめた作品です。
基本型はポストハードコアですが、リヴァーヴをかけたギターワークで空間に溶け入るような音作りを信条としているようで、満を持しての今作ではそれが遺憾なく発揮されています。
そこにエモーショナルなVoが雪崩れる構成で真新しいことはしていないのですが、過剰とも言える音響空間が案外個性的。
アルバムを抉じ開けるM-1“Perish”から激情と静寂を織り混ぜる完成度がなかなかのもの。
彼ら、存外アグレッションも大切にしているようで、ポストハードコアには演奏強度を求める方にもお薦めできますね。
緩やかに溶けるような美しいメロディーが炸裂するM-2“Your Love(Has Ruined My Life)”、ポップな歌メロに寄り添うリヴァーヴの効いたギターが軽やかに疾走するM-3“Like A Shadow”の流れで今作の対象とするレンジが恐ろしく広いことが伺えます。
ピアノと歌によるノンビートの素朴なバラードM-5“Marigold”で巧くチル感を出し、ほの暗く美しいメロディーラインを激情と共に叩きつけるヘヴィなM-6“To Fall Asleep”、彼らの代名詞とも言える深いギターノイズで濃淡をつけるモノクロの音像を描いたM-7“Monochrome”、乱反射する万華鏡のような音作りでしっとり聴かせるM-8“A Godsend”の中盤がかなりいいですね。
反面、後半が少し弱いかな、とも思います。
とは言え、早くも自分たちの世界観を確立させているので後は個性を磨き続けるだけですね。
IssuesやClosure In Moscowの初期辺りが聴いていると過ります。
青白くノスタルジックな美メロに酔いたい方には非常に刺さるであろう作品です。


1. Perish
2. Your Love(Has Ruined My Life)
3. Like A Shadow ★
4. Your Everything
5. Marigold
6. To Fall Asleep
7. Monochrome
8. A Godsend
9. Last Of The Evening Night
10. Purge
11. Wilt
(2019/Sharptone)
Time/47:50