むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

「傑作!」を連発するレビューブログを目指しています。コメントは記事ページから書込・閲覧頂けます。

DIR EN GREY / 落ちた事のある空

f:id:bluecelosia:20200806184811j:plain
DIR EN GREY / 落ちた事のある空


日本のロックバンドによる31作目シングル。



DIR EN GREYにとって初となる配信シングルとなる今作ですが、前作“The World of Mercy”と打って変わって、躍動感のある楽曲に仕上がっています。
コロナ禍において、彼等もアルバム“The Insulated World”の集大成ツアーを全公演中止にせざるを得なかったり、影響を受けてきました。
彼等のような世界観のバンドにおいて、国内ではほとんど初となる配信ライヴを開催したり、メンバー考案のプレイリストを全世界ライブ配信したり、想像以上に精力的だったと思います。
そんな中でリリースされた今作“落ちた事のある空”ですが、ぶれることのない、むしろ純化されたDIR EN GREYらしさの詰まった曲に仕上がっています。
腹に溜まるドラムの力強さで幕を上げ、それに這わされる異様に耳に残るリフの禍々しさ。
Vo京の常軌を逸した叫びと艶かしいクリーン、縦横無尽に転がり続ける様は、“The Insulated World”の世界観も息づかせ、“The Marrow Of A Bone”の頃の熱量を湛えています。
歌詩はまだ謎のままですが、かなり直接的に原爆のこともリンクさせているので、“Vinushka”の続編的な印象を受けました。
聞き取れる分の解釈では、“生とは無意味なのかを問う”ようなものなのかな、と。
ミキシングは中音推しなのでDan Lancasterなのかな?と思ったので、“The Insulated World”に近いです。
つまり、グルーヴ感があって非常に気持ち良いです。
それはM-2“CLEVER SLEAZOID”の再構築にも同様の感想を持ちます。
こちらは歌詩を日本語で再構成しており、原曲と比較しても要所要所で別物に聴こえてくるのが面白いですね。
シングルVerとアルバムVerの中間ぐらいの音作りでだいぶソリッドな音作り。
より猟奇的な雰囲気が出ていると思います。
音楽業界においてはライヴ活動をほぼほぼ封じられた先の見通しが立たない状況であっても、着実に先を提示してくれている頼もしさが彼等らしいと思える、次のアルバムへの期待感を煽る作品です。
できれば、フィジカルも一般流通してほしいですね。


1. 落ちた事のある空
2. CLEVER SLEAZOID
3. Followers[Live]※Live Take at Islington Assembly Hall on Feb 5, 2020
(2020/Firewall Div)
Time/11:09


DIR EN GREY - NEW DIGITAL SINGLE『落ちた事のある空』(Promotion Edit Ver.) (CLIP)