むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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The Raconteurs / Help Us Stranger

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The Raconteurs / Help Us Stranger


USのロックバンドによる3作目フルレングス。


自身が指揮を取るリーダーとして君臨していたThe White StripesやDead Weatherでは意識的にしろ無意識にしろ様々な制約を課して作品を作ってきたJack White。
それはソロであってもそうで、自由を制約に課している印象があります。
そしてこのThe Raconteursですが、そういったものとは無縁の、結成当初からのびのびと演奏しているJack Whiteが楽しめます。
今作においてもそうで、エネルギッシュなハードロックを聴かせるM-1“Bored And Razed”からして非常に気っ風がいいです。
壊れたラジオの繰り返しから砂塵を巻き上げるようなブルーズM-2“Help Us Stranger”、激しくリフを掻き鳴らす彼ららしいハードエッジなガレージロックM-4“Don't Bather Me”、軽妙なリズムと特徴的なギターと歯切れのいい歌で畳み掛けるガレージロックとカントリーを自在に行き交うM-7“Hey Gyp(Dig The Slowness)”、ささくれ立った硬質なギターがメロディアスに弾き倒されるM-8“Sunday Driver”、ポップなメロディーを爽やかに響かせる8ビートが心地好いM-10“Live A Lie”、重量のあるグルーヴがのしかかってくるようなM-11“What's Yours Is Mine”と今作ハードな曲の出来がかなりいいです。
その合間を縫うように、素朴な弾き語りから徐々に盛り上がるM-3“Only Child”やJack WhiteとBrendan Bensonが美しいギターの掛け合いを披露する朴訥でサイケかバラードM-12“Thoughts And Prayers”といったメロディアスな曲が主張します。
今作で、The RaconteursがこれまでのJack Whiteが主導してきたバンドやソロと違い、非常に民主主義的なバンドなんだな、と認識しました。
ドラムのタイム感にJack Whiteらしい癖は希薄なので、これまで避けていた人にも案外オススメしやすい一枚ですね。


1. Bored And Razed
2. Help Us Stranger
3. Only Child
4. Don't Bather Me
5. Shine The Light On Me
6. Somedays(I Don't Feel Like Trying)
7. Hey Gyp(Dig The Slowness) ★
8. Sunday Driver
9. Now That You're Gone
10. Like A Lie
11. What's Yours Is Mine
12. Thoughts And Prayers
(2019/Third Man)
Time/41:13