むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Gang Of Four / Happy Now

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Gang Of Four / Happy Now


UKのポストパンクバンドによる10作目フルレングス。


ストパンク黎明期から活動する生ける伝説です。
2004年に再結成してからはメンバー編成を変えながらもコンスタントに活動しています。
彼らの根幹はAndy Gillの剃刀のようなギターであり、それは今作でも勿論健在。
ますます磨き抜かれており、冴え渡ったカッティングは凄味さえ感じます。
作品の幕を抉じ開けるM-1“Toreador”から充満する濃密な色気と緊張感。
そんじょそこらのバンドには到底出せない独特なグルーヴは、硬質なドラムがファンクのリズムを叩き出すM-2“Alpha Male”で強烈な存在感を放ちます。
不穏なノイズとギターと官能的な歌い回しが聴けるM-3“One True Friend”、インダストリアルのような質感で淡々と渦巻くM-4“Ivanka:'My Name's On It'”、電子ノイズがヒリヒリとパーカッシヴに迫るM-5“Don't Ask It”に至るまでの流れが素晴らしいですね。
じんわりとノイズがほどけて喧騒に雪崩れるM-6“Change The Locks”を皮切りに、ダブステップを彼らなりに咀嚼したような複雑なリズムを刻むM-7“I'm A Liar”、乾いた電子ノイズの海をゆったりと泳ぐように歌われるM-8“White Lies”と実験的でありつつも呑み込みやすい流れはさすがの領域。
キャッチーで広がりのある歌メロと無機質なファンクががっぷり噛み合うM-9“Paper Thin”、踊れるビートが初期を思い出させる彼ららしいM-10“Lucky”と最後の聴き心地まで細心の注意を払っているように緻密。
John Sterryが参加しての2作目となりますが、彼の声は色気があってクール。
質のいいサスペンス映画のような作風の音に非常に合致しており、Andy Gillのアクの強いギターにも決して負けてはいない、新生Gang Of Fourのフロントマンとしての存在感もあります。
正直、今作は最高傑作ではないでしょうか。


1. Toreador
2. Alpha Male ★
3. One True Friends
4. Ivanka:'My Name's On It'
5. Don't Ask It
6. Change The Locks
7. I'm A Liar
8. White Lies
9. Paper Thin
10. Lucky
(2019/Gillmusic)
Time/40:21