むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Der Weg Einer Freiheit / Finisterre

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Der Weg Einer Freiheit / Finisterre


ドイツのブラックメタルバンドによる4作目フルレングス。


ロディックブラックからポストブラック、ファストブラック、ディプレッシヴブラックを縦横無尽に行き交う音楽性は更なる高見に到達しました。
あくまでも暴虐的かつ悲哀のトレモロを主軸にした音像は徹底的に磨き上げられています。
何より、ブラストビート主体にも関わらずここまで緩急自在に展開していく楽曲展開の構築力は凄まじいものがあります。
彼らに近いバンドと言えば、個人的にはWoe辺りが挙げられるのですが、あくまで怒りの感情が全面に出ているWoeに対し、DWEFは完全に哀に振り切っているのですね。
かと言って鬱々と陰に籠もるでなく、泣き喚き慟哭に絶叫する感じと言えばわかりやすい。
その音像は、まさしくディプレッシヴブラックそのものと言ってもいいはずなのにどこか異質。
まず、凡百のそれより、タフネスが段違いです。
極めてブルータルに押していく様は、Deafheavenにも匹敵します。
鬱ブラックのその先、悲哀を出してもその路線で先を見せてくれる様が頼もしい。
劇的に激情を演出する為、全体的に派手な印象ですが、メロディーの特性上物凄く寂しげな雰囲気を漂わせます。
まさに泣きメロと言うに相応しい。
これは劇的な展開を見せるM-1“Aufbruch”からしてそうで、悲しみに暮れる悲哀メロディーを全面に押し出しながら爆走します。
アルバム全体が、最終的に割とストレートなドラムが心地良い王道メロブラナンバーM-5“Finisterre”に繋がっていく構成が面白いですね。
曲数から見てわかるように大作志向でありますが、どの曲も明確な緩急があるので、聴き疲れしないのが素晴らしいです。
どこか哲学的にブラックメタルを俯瞰しているような、そういう側面もあるからかもしれません。
秋もすぐに更けて冬に向かう今の季節にピッタリな作品です。


1. Aufbruch
2. En Letzter Tanz
3. Skepsis Part I
4. Skepsis Part II
5. Finisterre ★
(2017,Season of Mist)
Time/45:32
※プラケース、8Pブックレット付