むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Perry Farrell / Kind Heaven

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Perry Farrell / Kind Heaven


USのシンガー/ソングライターによる2作目フルレングス。


USオルタナティブの覇者の一つJane's Addictionのフロントマンによる、18年振りとなる2作目のソロアルバムとなる今作。
Etty Lau Farrell(奥方)やMatt Chamberlain、Tony Viscontiといった錚々たる面子十数人が“Kind Heaven Orchestra”として参加しています。
怪鳥とも表現される独特の甲高いハイトーンは無論健在、作風としてもJane's Addictionの怪しさを彷彿とさせるミクスチャーの味わいを持ったもの。
カントリー調のギターが一気に唸りを上げてファンキーなリズム感で踊らせるM-1“(Red,White,And Blu)Cheerfulness”の爽快感と捻った癖の強さが作品を象徴しており、インダストリアルの要素をふんだんに散りばめ政治的主張を歌い上げるM-2“Pirate Punk Politician”の電化パンクにJAのファンはニヤリとするはず。
軽やかにスウィングするM-3“Snakes Have Many Hips”のキャバレーのようないかがわしい空気や、EDMの要素を微かに漂わせながら表情をどんどん変えていくディスコポップM-5“One”、重たく鋭角なビートに中東的なメロディーとリフをじっくり聴かせるM-6“Where Have You Been All My Life”、官能的な女性VoとFarrellの濃厚な絡みを聴かせるどこか昔のアイドルソングみたいなM-8“Spend The Body”と聴いているとくらくらするようなサイケな空気で充満しています。
アルバムを総括するような福音的な美しさに満ちたM-9“Let's All Pray For This World”にしても、どこかそわそわするような雰囲気があったりして、Perry Farrellらしさがそこかしこにありますね。
ただ聴いていると何だかDave Navarroのギターが恋しくなったりもして、Jane's Addiction=Perry Farrellだった自分の価値観が少し変わったりもする興味深い作品だな、と。Jane's新作早く聴きたい。
今作は神話をモチーフに織り上げられたものらしいので、続編もあるのかも知れませんね。あったらいいな。


1. (Red,White,And Blue)Cheerful
2. Pirate Punk Politician
3. Snakes Have Many Hips
4. Machine Girl
5. One
6. Where Have You Been All My Life
7. More Than I Could Bear
8. Spend The Body
9. Let's All Pray For This World ★
(2019/BMG)
Time/31:05