むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Higher Power / 27 Miles Underwater

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Higher Power / 27 Miles Underwater


UKのハードコアバンドによる2作目フルレングス。


凄まじい熱量とアイデアに溢れた作品です。
デビューアルバムではNYスタイルのハードコアを体現していた彼らですが、今作ではそれを保持したまま90sハードコアやニューメタル/ラウドロックを飲み込みエモの清涼感すらも発散させたボーダーレスな作品に仕上がっています。
個人的にはさらに“Meantime”“Betty”期のHelmetやJane's Addictionのフィーリングを感じさせる様に興奮しました。
重たいリフを転がしながらも開放的なコーラスで激烈にキャッチーな空気を放射するM-1“Seamless”からして象徴的で、低く揺らせるグルーヴと刻んだリフが印象的な倦怠感のあるM-2“Shedding Skin”はグランジの薫りを存分に立ち上らせ、荒めにドライヴするリフが空中に放り投げられるかのようなエモーショナルなM-3“Lost In Static”のスッキリした見晴らしは聴く者をキッズに戻す空気があります。
高速で刻むギターがあっという間に駆け抜けるハードコアM-4“Rewire(101)”、90s黎明期のエモを彷彿とさせる曇天のような泣きメロが炸裂するM-5“Low Season”、硬質なドラムの抜けの良さと耳に心地好いベースと怪鳥の如きVoが耳を引くM-6“Passenger”から一気に空気が変わっていきます。
ロディアスなギターに気だるげなVoを合わせつつファンクっぽいベースラインに叙情的なソロが拝めるM-7“King Of My Domain”、アコースティックギターでシンプルに聞かせつつ硬質のエレキが後を追うM-8“In The Meantime”、病んだメロディーラインと跳ねるようなリフが縦横無尽に行き交うM-9“Staring At The Sun”、陽だまりのようなギターの残響から一気に重厚なグルーヴと白々としたコーラスを交錯させるM-10“Self-Rendered:Lost”を引きずって作中最もダークかつ小気味良いリズムに酔いしれるM-11“Drag The Line”に至るまで一息に聴かせる地力が実に見事。
聴けば聴くほどDave NavarroやPage Hamiltonが憑依したかのような溌剌としたギターが非常に個性豊かで、Jane's AddictionやHelmetが好きな人には是が非でもお薦めしたい大傑作です。
彼らの因子がUKで発露したというのが非常に興味深いですね。
Roadrunnerがサインしたのも納得。
そしてこのアートワーク、最高ですね。


1. Seamless
2. Shedding Skin
3. Lost In Static
4. Rewire(101)
5. Low Season
6. Passenger
7. King Of My Domain
8. In The Meantime ★
9. Staring At The Sun
10. Self-Rendered:Lost
11. Drag The Line
(2020/Roadrunner)
Time/34:12