むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Nokturnal Mortum / Verity

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Nokturnal Mortum / Verity


ウクライナのフォークブラック/ペイガンメタルバンドによる7作目フルレングス。


より深遠へと向かう幽玄たる大作。
初期の爆走シンフォニックブラックと随分遠いところに辿り着きました。
前作のトラッド/フォークメタルとも似通っているようで毛色が違っています。
より雄大な、儚げで悲哀感強めなメロディーが深い森の中で鳴らされているような雰囲気です。
彼等の作品で、最も神秘的で荘厳。
前作で聴けたメジャー感は大きく減退しているものの、初期のような不気味さはなくなっています。
かと言って明るくなっているわけでは決してなく、バンドゥーラや(某誌に屁の音と揶揄された)ソピルカ等民族楽器による悠久の調べはますます磨き抜かれています。
よりペイガンメタルと形容するに相応しい音に仕上がったというか。
前作のわかりやすさが好きな人には物足りないかもしれませんが、個人的にはこのどこまでも深い霧の中に連れ去ってくれそうな音像に大いに惹かれますね。
ヴァイキングの雄壮さ・悠遠さとも違い、またプログレッシヴメタルともどこか違う。
雄大なメロディーに重たいギターやバンドゥーラの儚げな音色を這わせてうねり続けるようなM-2“Molfa”からして前作とは見ている地点が違うのだな、と思わされます。
サイケデリックなシンセから吹雪が吹き荒れるような壮大極まりないM-5“Song Of The Snowstorm”で聴ける暴虐的なリフの嵐は、まだまだ彼等がメタルバンドとしての矜持を保っている証左。
しかして、M-6“Wolflish Berries”辺りから露骨に幽玄さが顔を出し始め、M-10“Black Honey”の物悲しすぎるメロディーに着地して、更なる郷愁を呼び覚ましていきます。
彼等らしいわかりやすい要素もふんだんに織り込みつつ、全体的に煙に巻き続ける作品です。
理解するに時間がかかる作品ではあるものの、ここまで神秘的な作品に作り上げる執念と手腕に脱帽する出色の出来。
プロダクションも、極めて良好。
気が遠くなるような傑作でございます。


1. I′ll Meet You In Acient Darkness
2. Molfa
3. With Chort In My Bosom
4. Spruce Elder
5. Song Of The Snowstorm ★
6. Wolflish Berries
7. In The Boat With Fools
8. Wild Weregild
9. Lira
10. Black Honey
11. Night Of The Gods
12. Where Do The Wreaths Float Down The River?
(2017,Oriana Music)
Time/74:26
※メディアブック仕様