むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Melted Bodies / Enjoy Yourself

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Melted Bodies / Enjoy Yourself


USのメタル/ロック/ハードコアバンドの初フルレングス。



これまた強烈なバンドが出てきました。
メタリックな強度と破壊力、ハードコアの衝動で叩きつけてくるロックアルバムです。
System of A Down周辺を思い浮かべる人も多そうですが、個人的にはFaith No MoreやTomahawk、もっと限定して言えばTomahawkの“Mit Gas”を限りなく彷彿とさせる、鋭利かつ凶悪な作品に仕上がっています。
特にこの作品を特異としているのは、それこそMike Pattonに近い狂ったような捲し立てや素っ頓狂な歌い回し、この世の怒りを絞り出すようなスクリームのVoです。
絶叫から縦横無尽に目まぐるしくリフがのたうち回るM-1“Eat Cops”から「ちょっと只者ではないぞ」と思えるはず。
人を食ったような歌い回しで切迫感を煽りまくる緩急自在の演奏も楽しいM-2“99 Scents”、動画広告やインスタントな情報社会を皮肉ってる悪ふざけが過ぎるPVも印象的な高速で痙攣して飛んでいくM-3“Ad People”、シャッフルでぐるぐると引きずり回すようなジャングリーなポップと狂騒的なハードコアがぶつかるM-4“Funny Commercials(and The Five Weeks Migraine)”と、再生した瞬間から聴く人の脳髄をガシガシ揺らすような展開に眩暈がしそう。
小気味良いパーカッションにベースがうねる躁的なラウドロックとディスコパンクの喧騒M-5“Club Anxious”、規則的なビートに電撃で痺れるようなシンセから猥雑なメロディーが放たれるM-6“Phone Tumor”、ミラーボールが煌めくような音響処理で凄まじく高速のリフが爆走して哀愁の歌メロが馴染むM-7“The Rat”の踊り狂えと言わんばかりの中盤も素敵ですね。
衝動的な生々しい幕開けからスポークンワードをぶちまけつつ性急なBPMで追い立ててくる猟奇的なロックンロールM-8“The Abbot Kinney Pedophiles”を経て、不穏で美しいメロディーをゆったりと聴かせつつ鮮やかに燃え上がるM-9“Helplessness”の白眉な出来に余韻を浸らせない、M-10“Meat Cleanse”の悪夢のような喧しい展開に神経をズタズタにされて幕を下ろす構成が見事。
野放図に見えて、かなり知的かつ周到に組まれている雰囲気すらあって、かなり凄いことになっている作品です。
今作は非常にカテゴライズが難しく、メタルでもあるしハードコアでもあるし、ロックやポップとも言えます。
今作はクロスオーバーではなく、真にミクスチャーな作品でオススメです。
唖然となる傑作ですよ。
難点はCDリリースではないこと。出ないかな、DL購入だけだと味気ないんですよね。



1. Eat Cops
2. 99 Scents
3. Ad People
4. Funny Commercials(and The Five Weeks Migraine)
5. Club Anxious
6. Phone Tumor
7. The Rat
8. The Abbot Kinney Pedophiles
9. Helplessness ★
10. Meat Cleanse
(2020/Plastic Smiles)
Time/47:52