むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Awolnation / Angel Miners & The Lightning Riders

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Awolnation / Angel Miners & The Lightning Riders



USのポップ/ロックバンドによる4作目フルレングス。



日本では全く知名度はありませんが、BMWのCMや映画の主題歌にも抜擢されたりするアメリカでは知られているバンドです。
VoのAaron Brunoを軸に編成されたバンドで、その音楽性はとにかく雑多でありつつ強烈にポップです。
前作“Here Come The Runts”ではガレージロックやパンク、スラッシュメタルさえも組み込んだアグレッシヴな一面をさらけ出していましたが、今作はそういった攻撃的な面は控えめで、エレクトロポップやEDMとハードロックを繋ぐような作風に仕上がっています。
乱暴に表現するならAviiciとVan Halenを接続するようなもので、それは哀愁のメロディーを厳かに聴かせて歌い上げるM-1“The Best”と、弾けるテンションで観衆を熱狂させるグルーヴに引き込むハードロックM-3“Mayday!!!Fiesta Fever”が象徴しています。
物憂げで静かなメロディーからミニマルでダークなエレクトロポップに滑り込むM-2“Slam(Angel Miners)”、牧歌的なコーラスがくっきり浮かび上がるグラムロックのようなギラつきもあるM-4“Lightning Riders”、夢見心地でしっとりと聴かせて壮大なコーラスで夕暮れに溶け込むようなM-5“California Halo Blue”と、カラフルなポップを矢継ぎ早に繰り出します。
それは後半になっても変わらず、エッジの効いたリズムにトロピカルなメロディーとVoを合わせるM-6“Radical”や、ラウドなギターを唸らせてからドリームポップと絶叫が行き交うM-7“Battered,Black & Blue(Hole In My Heart)”、WeezerのRiversが参加しているのもトピックな波打ち際でゆったり聴くようなサーフポップM-8“Pacific Coast Highway in the Movies”、銀盤が乱舞するQueenを思い浮かべる絢爛なロックソングに仕上げるM-9“Half Italian”、朝焼けに歌い上げるような序盤から徐々に壮大なバラードになるかと思えば狂乱に踊り狂うようなアグレッシヴなM-10“I'm A Wreck”という意表を突く〆方に驚きました。
彼等は実質的にはAaron Brunoの世界観を全面に押し出すバンドではありますが、それを支える演奏がしっかりしていて聴けば聴くほどめくるめくAwolnationの世界に引き込まれていきます。
それでも、前作のアグレッション強めの作風の方が好みではありました。
コマーシャルになりすぎないギリギリの線をせめぎあうスリリングな部分もある、Maroon5やEd Sheeranといったメインストリームのポップが好きな人にもオススメしやすい一枚ですね。



1. The Best
2. Slam(Angel Miners)
3. Mayday!!!Fiesta Fever ★
4. Lightning Riders
5. California Halo Blue
6. Radical
7. Battered,Black & Blue(Hole In My Heart)
8. Pacific Coast Highway in the Movies
9. Half Italian
10. I'm A Wreck
(2020/Better Noise)
Time/39:18