むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Harm's Way / Posthuman

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Harm's Way / Posthuman


USのハードコアバンドによる4作目フルレングス。


荒々しくもグルーヴィーなハードコアで、生々しいリフの重厚さと不穏なインダストリアルのノイズで脳をガンガンぶん殴ってくるスタイルは不変。
基本はミドルで圧殺するグルーヴが持ち味ですが、ここぞとばかりに爆走を織り混ぜるので、非常に緩急のメリハリが効いています。
元々その手法には長けたバンドですが、今作はより一層極まっており、メタリックとすら言えるほど硬質な演奏とも相俟って、まさしく地獄絵図。
しかし今作の素晴らしいところは、どことなく冷めた目線で俯瞰したような知性もしっかりあるところ。
この辺りはプロダクションが飛躍的に良好になった影響もあるのでしょうが、これまでになく破壊力と爽快感もあって、元はパワーヴァイオレンスをやっていた源流がしっかり透けているのが素晴らしい。
戦車で大地を抉り進むようなリフが印象的なM-1“Human Carrying Capacity”はハードコアとしても最重くらいの重厚さを持っていますし、続く2分に満たないM-2“Last Man”はハンマーで殴るようなパワーヴァイオレンスで、邪悪なメロディーを鈍く生々しいリフで磨り潰すようなM-3“Sink”の冒頭で単なる勢い任せの作品でないことは明白。
浮遊感を持たせた不穏なノイズでスラッジ的に聴かせるM-4“Temptation”や、グルーヴィーなリフとインダストリアルな音響で無機質に迫るM-6“Call My Name”の破壊力はなかなかに壮絶。
もちろん、ストレートに轢き潰すようなブルータルハードコアM-5“Become A Machine”やM-8“Dissect Me”のようなキャッチーさもちゃんとあります。
圧倒的な力で捩じ伏せつつ冷酷に聴かせるハードコアアルバムでオススメですよ。
NYHCの懐深さを再認識できますね。


1. Human Carrying Capacity
2. Last Man
3. Sink
4. Temptation
5. Become A Machine
6. Call My Name ★
7. Unreality
8. Dissect Me
9. The Gift
10. Dead Space
(2018/Metal Blade)
Time/33:52